朝日新聞の発行部数が急落していると噂になっているが一般にはそのデーターが分からない。もう20年前のことになるが共同通信社の役員時代に電通幹部に広告価格の基礎データーとなる日本ABC協会の「新聞発行社レポート 普及率」を見せて貰った。
各新聞社は広告価格を高めに設定したいから、これとて正確な部数調査とはいえないが、一応の目安にはなる。20年前には東京地区の一位は朝日だが、関東各県では読売が一位。
地方では共同が記事配信している県紙が高い普及率を示して一位となっているところが多い。二位は朝日と読売が激しい部数競争を示していた。総じて言えるのは大都市圏では朝日が優勢で地方圏では読売が優勢という傾向が読みとれた。
20年後の今日、それがどうなっているのか興味があるので、2013年7月~12月平均の日本ABC協会の「新聞発行社レポート 普及率」を入手した。
細かい数字は一般には必要ない筈だから、各都道府県の新聞普及率を一位、二位、三位で示してみる。衝撃的だったのは大都市圏の東京、大阪で強かった朝日が読売にトップの座を奪われている。新聞の経営でいえば、人口が集中する大都市圏で部数を伸ばし、広告収入を維持することが絶対的な条件である。
語弊があるかもしれないが、人口減少圏で発行部数のシェア争いをするのは経営上は効率的ではない。ネット情報時代に入って、全体の新聞部数は伸び悩みどころか減少傾向をみせている。それだけに東京、大阪で朝日と読売が激烈な部数競争をしてきた。
東京における朝日と読売の逆転現象がいつから顕著になったのだろうか。朝日が慰安婦に関する記事の一部を「虚偽」と認めて取り消したことは最近のことである。だから慰安婦問題で部数が大幅に減り、明日にも朝日が倒産するという極論には組みしない。
むしろ朝日の部数減がかなり以前から発生していて、そこに慰安婦記事の虚偽攻撃が加わったので、危機感をもった朝日経営陣が取り消しに踏み切ったとみるべきだろう。
しかし取り消しが火に油を注いだ面は拭えない。週刊誌までが朝日攻撃を始めている。読売はここぞとばかり朝日攻撃に力を入れている。朝日は明らかに戦後初めて経営上の危機に直面しているが、それをどう突破するのだろうか。
各都道府県別の部数傾向(一位①、二位②、三位③)
北海道 ①北海道新聞②読売③朝日
青森県 ①東奥日報②デーリー東北③読売
岩手県 ①岩手日報②読売③朝日
宮城県 ①河北新報②朝日③読売
秋田県 ①秋田魁新報②朝日③読売
山形県 ①山形新聞②読売③朝日
福島県 ①福島民報②福島民友③朝日
茨城県 ①読売②朝日③毎日
栃木県 ①下野新聞②読売③朝日
群馬県 ①上毛新聞②読売③朝日
埼玉県 ①読売②朝日③毎日
千葉県 ①読売②朝日③毎日
東京都 ①読売②朝日③日本経済
神奈川県 ①読売②朝日③日本経済
新潟県 ①新潟日報②読売③朝日
富山県 ①北日本新聞②読売③北國新聞系・富山新聞
石川県 ①北國新聞・富山新聞②中日新聞系・北陸中日新聞③読売
福井県 ①福井新聞②読売③日本経済
山梨県 ①山梨日日新聞②読売③朝日
長野県 ①信濃毎日新聞②読売③朝日
岐阜県 ①中日新聞②岐阜新聞③朝日
静岡県 ①静岡新聞②中日新聞③朝日
愛知県 ①中日新聞②朝日③日本経済
三重県 ①中日新聞②朝日③毎日
滋賀県 ①読売②朝日③京都新聞
京都府 ①京都新聞②読売③朝日
大阪府 ①読売②朝日③産経
兵庫県 ①神戸新聞②読売③朝日
奈良県 ①毎日②朝日③読売
和歌山県 ①読売②朝日③毎日
鳥取県 ①日本海新聞②読売③朝日
島根県 ①山陰中央新報②読売③朝日
岡山県 ①山陽新聞②読売③朝日
広島県 ①中国新聞②読売③朝日
山口県 ①読売②朝日③毎日
徳島県 ①徳島新聞②朝日③日本経済
香川県 ①四国新聞②読売③朝日
愛媛県 ①愛媛新聞②読売③朝日
高知県 ①高知新聞②読売③朝日
福岡県 ①西日本新聞②読売②毎日
佐賀県 ①佐賀新聞②西日本新聞③読売
長崎県 ①長崎新聞②読売③西日本新聞
熊本県 ①熊本日日新聞②読売③朝日
大分県 ①大分合同②読売③朝日
宮崎県 ①宮崎日日新聞②朝日③読売
鹿児島県 ①南日本新聞②読売③朝日
沖縄県 ①琉球新報②沖縄タイムス③日本経済
杜父魚文庫
17114 東京、大阪で朝日は読売にトップ・シェアを奪われた 古澤襄

コメント
日本で大阪だけ、産経がベスト3に入っている。これは興味深いです。