17125 中朝国境地域が様変わり    古澤襄

■中国人観光増え税関に列
先月28日、中国遼寧省・丹東を流れる鴨緑江の対岸にある北朝鮮の新義州では、数百人の住民が川沿いのプールで水遊びを楽しんでいた。鴨緑江の鉄橋では、人と物資を載せた車がひっきりなしに中朝国境を行き交っていた。丹東で会った北朝鮮専門家は「金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の執権3年を特徴付けるキーワードは『変化』だ」と語った。こうした変化は、西海(黄海)に注ぐ鴨緑江の下流から豆満江が流れ込む東海(日本海)に至るまで、1500キロに及ぶ中朝国境付近のあちこちで見られた。
■山全体が野菜畑に
丹東を出発し、吉林省の集安、長白に至る3日間の旅で、最も目に付いたのは鴨緑江の対岸に見える北朝鮮の野菜畑だった。北朝鮮の基本的な農業単位は協同農場だが、金正恩体制の発足後、住民が個人で農作業を行い、農作物を持ち帰る野菜畑が急増した。慈江道満浦市から両江道恵山市にかけては、山のふもとから頂上まで山全体を畑にしている所が多かった。遠目には、山がつぎはぎの布団をかぶっているように見えた。
現地で会った北朝鮮専門家は「主にトウモロコシやジャガイモなどを栽培しているが、農作物の大半を自分のものにできるため、山頂はもちろん、あまり目に付かない渓谷のあちこちにも野菜畑が造成されている」と説明した。この山々は、わずか数年前ははげ山だったという。ウシやヤギなどの家畜が川沿いでのんびりと草をはんでいる様子も見られた。
■国境地域で北朝鮮観光が人気
今月1日、中国の延吉で会った延辺大のキム・ソンナム教授は「金第1書記の対外開放に対する意志は強いようだ」と語った。キム教授は「北朝鮮は最近、従来の13カ所の経済開発区に加え、新たに6カ所を設置し、計19カ所の経済開発区を運営することを決めた」と説明し「対外開放による(紀綱の緩みなどの)負担を北朝鮮がいかに克服するかが鍵になる」と話した。
開放に対する北朝鮮の意志の強さは、国境地域のあちこちで見て取ることができた。最初に開放したのは観光だ。丹東市が発行した観光ガイドには、毎日午前8時から午後4時半までの日帰り新義州観光ツアー、3日間の平壌観光ツアーなどが紹介されていた。現地の観光業界関係者は「集安と満浦の間では、毎日平均400人ほどが北朝鮮側に入っている」と伝えた。また、中国の琿春では羅津・先鋒地域に近い琵琶島の観光が人気だ。ある関係者は「琵琶島に香港出身の俳優ジャッキー・チェンが建てたカジノがあるが、中国人でごった返している」と話している。中国政府は昨年2月に北朝鮮が3回目の核実験を行って以来、北朝鮮観光を禁じていたが、今年4月に再び許可した。
■中朝の貿易も活発
1日、羅津・先鋒経済特区に入るための中国側の関門となる琿春の圏河税関では、通関を待つ車が長い列を作っていた。鉄骨やセメントなどの建設資材や機械類を載せたトラック、日用品を積んだコンテナトラック、自家用車などだ。琿春市の関係者によると、圏河税関は年中無休で午前8時から午後5時まで業務を行っているという。昨年の中朝貿易額は65億4000万ドル(現在のレートで約6860億円、以下同じ)で、前年(59億3000万ドル=約6220億円)よりも増加した。
丹東や集安、長白、図們、琿春など北朝鮮と国境を接する中国の都市には、外貨稼ぎのために北朝鮮からやってきた労働者が多かった。キム・ソンナム教授によると、延辺朝鮮族自治州だけで2万人余りの北朝鮮労働者がいるという。
(韓国・朝鮮日報)
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