朝日新聞社の木村伊量社長らが11日夜、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所の吉田昌郎元所長が政府の事故調査・検証委員会の聴き取りに答えた証言記録、いわゆる「吉田調書」を巡ることし5月の記事について、「間違った記事だと判断した」と述べ、記事を取り消す考えを明らかにしたうえで、「経営トップとしての私の責任も逃れられない」として「抜本改革のおおよその道筋をつけたうえで、速やかに進退について決断したい」と述べました。
これは11日午後7時半から朝日新聞社の木村伊量社長と編集担当の杉浦信之取締役らが記者会見して明らかにしました。
朝日新聞社はことし5月20日の朝刊で「吉田調書」を入手したとして掲載した記事の中で、福島第一原発の2号機が危機的な状況に陥っていた3月15日の朝、「第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」と報じました。
これについて、11日夜の記者会見で、朝日新聞社は「所員への直接取材を徹底しなかったため、所員に指示がうまく伝わらないまま第二原発への退避が行われたということが把握できなかった。また吉田元所長が証言記録の中で『よく考えれば2Fに行った方がはるかに正しいと思った』と評価していた部分などを欠落させていた」と発表しました。
そのうえで、所員らへの取材が不十分で所長の発言への評価が誤っていたことが判明したとして、記事を取り消すことを明らかにしました。
今回、朝日新聞が取り消すとした「吉田調書」を巡る記事については、吉田元所長には撤退が命令違反との認識はなかったのではないかという指摘が出ていました。(NHK)
■「吉田調書」記事を取り消し=「命令違反し撤退」は誤り-社長が謝罪・朝日新聞
朝日新聞社の木村伊量社長は11日、東京都中央区の東京本社で記者会見し、東京電力福島第1原発事故で政府の事故調査・検証委員会が行った吉田昌郎元所長(故人)の聴取記録(吉田調書)を基に「所員が吉田氏の命令に違反し撤退した」などと報じた記事は誤りで、取り消すと発表した。
木村社長は「命令違反とした表現を取り消す。東電の関係者に深くおわびを申し上げる」と謝罪。杉浦伸之編集担当の職を解くとともに関係者を処分し、社長自身も社内改革後に進退を判断する意向を示した。
問題となったのは、5月20日付朝刊。独自に入手した吉田調書などを基に、「所長命令に違反 原発撤退」の大見出しで、「所員の9割に当たる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、福島第2原発へ撤退していた」などと報じた。
政府は11日に吉田調書の全文を公開。吉田元所長の発言の中で、「命令に違反」との記述はなかった。
木村社長はまた、従軍慰安婦問題の記事を取り消した点についても、「誤った記事を掲載し、訂正が遅きに失したことを読者におわびする」と話した。(時事)
杜父魚文庫
17154 朝日新聞 「吉田調書」記事取り消し 古澤襄

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