17193 ヒラリー・クリントン氏、出馬意欲示す発言    古澤襄

■党内に新たな議論も
【インディアノーラ(米アイオワ州)】ヒラリー・クリントン前米国務長官は14日、アイオワ州で開かれた毎年恒例の資金集めイベントで、非公式ながらも2016年の大統領選挙への出馬意欲を示した。ヒラリー氏は「それについて考えているのは本当だ」とこれまでで最も明確なトーンで発言した。
この資金集めイベントは、上院議員を長年務めているアイオワ州のトム・ハーキン氏が主催する毎年恒例の「ハーキン・ステーキ・フライ」。ヒラリー氏がアイオワを訪れるのは、7年近く前に開かれた大統領予備選挙のアイオワ州党員集会以来、初めて。この党員集会でのヒラリー氏の順位は3位だった。ヒラリー氏の今回のアイオワ訪問は、次の大統領選挙が実質的に始まったことの合図だ。ヒラリー氏は開口一番、こう発言して笑いを誘った。「アイオワの皆さん、こんにちは!戻ってきました(I’m baaack)」
しかし、ヒラリー氏の登場はアイオワ州の民主党内の議論に火をつけることにもなった。国内最初の予備選挙であるアイオワ州党員集会を、民主党の主要政策を徹底的に論じる場として利用すべきか、それともヒラリー氏支持で一致団結し共和党との闘いに備えるべきかという議論だ。 
世論調査の結果をみると、ヒラリー氏が出馬すれば、圧倒的な支持が得られそうだ。米CNNテレビが実施した最近の世論調査によると、アイオワ州で登録している民主党員の53%がヒラリー氏の指名を支持している。一方、2位のバイデン副大統領は、はるかに水をあけられ15%だ。
とはいえ、出馬の意向を示している民主党議員は他にもいるほか、民主党の政策に関わる討論を行うために、候補者指名のプロセスを望むと話すアイオワ州の有権者も多い。
バイデン氏は17日に、社会正義の促進を目的としたアイオワ州のイベントで演説する予定だ。また、メリーランド州のオマリー知事は同州をすでに3度訪問し、最近では中間選挙の援軍として十数人の選挙スタッフを送り込んだ。これは民主党活動家たちの信用を得ようとするジェスチャーだ。
本流からはやや外れているが、リベラル派のバーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州)もこの週末、3つのタウンミーティングに出席するため、アイオワ州を訪れていた。同議員は無所属ではあるが、議会では民主党と歩調を合わせている。サンダース氏はインタビューで「政策討論はあってしかるべきだ」との考えを示した。
だが民主党が討論を求めているかどうかは、見解が分かれている。
フットボールの試合のためにアイオワ大学にやってきたエルドリッジ在住のジョーン・ヘニガンさんは「民主党がエネルギーを拡散させるより、ヒラリー氏支持でまとまってほしいと思う」と話す。「ヒラリー支持という一つの大きなエネルギー。アイオワがヒラリー支持でまとまることができれば、彼女にとっても大いに利益になる」
一方で、中東の過激派による脅威や雇用創出、停滞したままの賃金、ヘルスケア関連コスト、学生ローン問題などについて、民主党の見解を明確にすべきだと主張する向きもある。
シーダーラピッズ在住のチャールズ・クローリーさんはヒラリー氏に傾いているとしながらも、自身にとって重要な3つの問題についてヒラリー氏の答えを聞きたいと話す。それは気候変動、収入格差、そして中東の紛争だ。
クローリーさんは、自分が推す候補者はヒラリー氏だと「完全に確信しているわけではない」とし、こうした問題に対するヒラリー氏の本質的な立場次第で、支持者が変わる可能性があることを明かした。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
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