21日に結党した新党「維新の党」は、発信力のある橋下、江田両共同代表を二枚看板として野党再編の起爆剤となることを目指す。
ただ、基本政策のすり合わせが不十分なうえ、両代表の間には安倍政権との距離感にも温度差がある。連携相手に想定する民主党やみんなの党もそれぞれ党内事情を抱えており、再編ドラマの着地点は見通せない。
「好きな石原さんと別れてまで野党結集の道を歩んだんだから、絶対に実現させたい。維新の党は再編の一過程に過ぎない」
橋下氏は結党大会後の記者会見で、結いとの合流に否定的だった日本維新の会の石原慎太郎共同代表(当時)らと分党した経緯を振り返り、再編に意欲を示した。他党との交渉役については、江田氏が「率先してやる」と強調した。
新党内からは「再編の号砲を鳴らせた」との期待感が出ている。しかし、新党が再編の主導権を握れるかどうかは不透明だ。橋下氏らが描いていたシナリオは、まず、衆院で民主党(56人)を上回る野党第1党に躍り出て、再編を主導するはずだった。しかし、維新の会は分裂し、新党の衆院勢力は42人にとどまった。橋下氏は会見で「政権を担ったことのある民主党のメンバーに旗を振ってもらいたい」と語り、民主党の保守系勢力とともに再編の機運を高めていく考えを示した。
他の野党からは、維新との勢力結集に冷ややかな見方が出ている。
民主党の海江田代表は再編に否定的で、枝野幹事長も「再編ありきとは考えていない」と慎重な姿勢を見せている。来年10月の消費税率引き上げに関しては、民主党が経済情勢を見極めて慎重に判断するとしているのに対し、維新の党は先送りを主張しており、足並みがそろわない。みんなの党は党運営を巡る内紛で身動きが取れない状況だ。
維新の党内部も一枚岩とは言えない。
新党人事を巡っては、橋下、江田両氏でさや当てがあったとされる。幹事長には松井一郎大阪府知事、代表代行にも橋下氏に近い松野頼久衆院議員が就任し、結い側には「我々の意見は反映されるのか」との不満がくすぶっている。安倍政権へのスタンスでは、会見で江田氏が「違いをはっきり打ち出すべきだ」と唱えたのに対し、橋下氏が「安倍政権の成長戦略には基本的に賛成だ」と語るなど、距離感もうかがわせた。
基本政策でも、集団的自衛権の行使については橋下氏が容認、江田氏が慎重なことから、「『自衛権』行使の範囲の適正化」との曖昧な文言にとどめた。原発再稼働などの党見解は結党大会に合わせて発表予定だったが、すり合わせが間に合わず、見送られた。(読売)
杜父魚文庫
17261 野党再編の展望開けず…維新内部、政策にずれ 古澤襄

コメント
政党助成金の「山分け効果」で少数政党乱立。民主党は100億円の使い道に苦労しておるようです。小沢さんに聞くのも手かも。