17280 F22ラプター、シリアのISIS拠点攻撃に初登場    宮崎正弘

■シリア政府を攻撃してきた米国が、シリア政府に通告しつつ。
シリア領内にあるISIL(イスラム国)の拠点に9月22日、米国主導の空爆が行われ、「テロリストの本部、軍事訓練場、武器庫、食糧倉庫、財務本部、宿舎などを空爆とミサイルで破壊した」(米中央軍発表)。
オバマ大統領の決断は9月10日だった。空爆の実現までに随分と時間が必要だったのは周辺国の同意、賛意、あるいはこの空爆への協力である。

米国の発表に従えば、空爆にはサウジアラビア、ヨルダン、カタール、バーレン、UAE(アラブ首長国連邦)が加わった(どのような形で加わったかは不明)。そしてシリアのアサド政権には事前に通告したと一部メディアがつたえた。
「中東の異端児」といわれるカタールが加わったのは意外だが、一方でイランからの敵対的な声明もなく、シリア政府は沈黙を続けたままである。カタールはアルジャジーラの拠点でもあり、産油国で唯一リベラルは政策を掲げるため周辺国と対立してきたのである。
トルコは首相が記者会見したものの、米国とアラブ諸国との協調にはノーコメント、まだトルコ政府そのものがいかなる態度かも言明しなかった。トルコは百万に及ぼうとするシリアからの難民と、国境にはイラクとの境界線も曖昧なゲリラ地区を抱えており、次の対策の方向性が見えていない。
ともかく空爆は「はじまり」でしかなく、これからISILとの戦闘は長期化する畏れがあり、地上部隊をいつ導入するかという議論になる可能性が高い。オバマは国連で支持を広げ、国際社会の理解を得たい姿勢だが、ロシアも中国も現在沈黙を守っている。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました