■武器禁輸、40年ぶり緩和
【ハノイ時事】米国がベトナム向け武器禁輸を約40年ぶりに緩和し、ベトナムでは一層の関係改善に期待が強まっている。ただ、枯れ葉剤被害者への補償や人権問題など、両国間には多くの課題も積み残されている。
米政府は2日、ベトナムの海洋安保を支援するため、殺傷力のある武器の禁輸を一部解除した。南シナ海の領有権を中国と争うベトナムは「越米関係の包括的関係を促進するステップ」(外務省報道情報局)と歓迎を表明。「米越軍事同盟の可能性」(ニューヨーク・タイムズ紙)までささやかれ始めた。
しかし、ベトナム戦争の「負の遺産」は解決されていない。その一つが枯れ葉剤被害者の救済問題だ。米政府は「枯れ葉剤と障害者の因果関係が科学的に証明されていない」として、ベトナム人には一切の補償を拒んでいる。
一方、米国のベトナム帰還兵らに対しては、枯れ葉剤を製造した化学・製薬会社が巨額の賠償金を支払った。この二重基準が、米越関係に暗い影を落としている。
また、米国務省のサキ報道官は武器禁輸緩和について「ベトナムの人権状況が改善されていることを考慮した」と説明。しかし、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのフィル・ロバートソン・アジア事務所副所長は「ベトナムでは依然として人権が抑圧されており、(禁輸緩和は)時期尚早だ。米国の対応で、ベトナムの人権問題が軽視されることを強く懸念する」と批判した。(時事)
杜父魚文庫
17351 米越、関係改善なお課題 古澤襄

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