17364 河野洋平氏が国会で説明すべき3つの義務と責任     阿比留瑠比

■【阿比留瑠比の極言御免】
秋の臨時国会が開会し、衆参両院で論戦が始まった。そこでぜひ、参考人として招いてもらいたいのが河野洋平元官房長官だ。自民党の稲田朋美政調会長は「河野氏を国会に呼んで何を明らかにするかをはっきりしないといけない」と指摘しているが、河野氏には、少なくとも次の3点について国民に説明する義務と責任があると考える。
まず、河野氏が平成5年8月に慰安婦募集の強制性を認めた河野談話を発表した記者会見で、「強制連行の事実があったという認識なのか」と問われ、こう答えた問題だ。
「そういう事実があったと。結構です」
だが、政府が今年6月20日に公表した河野談話作成過程に関する報告書は「(談話作成に至る)一連の調査を通じて得られた認識は、いわゆる『強制連行』は確認できないというもの」だと明確にしている。
実際、河野談話には「強制連行」という言葉はない。河野氏は当時の政府内の共通認識を踏み外し、自身の名が冠された談話の趣旨からも逸脱する答弁をしているのである。
これにより、政府が公式に慰安婦の強制連行を認めたとの誤解が世界に流布されることになった。
「どうしてあの発言が出てきたのか不思議だ。この検証はぜひしてほしい」
現在の政府関係者もクビをひねる「(河野氏)ご本人しか説明できない」(次世代の党の山田宏幹事長)話なのだから、河野氏に出てきてもらうしかない。

次に、河野氏がこれまで河野談話が日韓間で事前に内容や文言を調整した「日韓合作」であることを否定してきた問題がある。
これも6月の政府の報告書が日韓間の事前調整を認定したが、河野氏は例えば9年3月31日付朝日新聞のインタビュー記事でこう語っていた。
「この問題は韓国側とすりあわせをするような性格のものではありません」
明らかに事実と異なることを国民に発信している。これについては、河野談話発表時に内閣外政審議室がまとめた「想定問答」でも模範解答は「事前協議は行っていない」とあった
いわば宮沢喜一内閣ぐるみのごまかしだったのだろうが、河野氏にはどうしてこんな嘘をつく必要があったのかを聞きたい。

3点目は、河野氏がずっと、河野談話の主な根拠は韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査だと主張してきた経緯についてだ。
河野氏は「被害者でなければ語り得ない経験だ」と強調し、これが河野談話の決め手となったとしてきたが、この点に関しても政府の報告書はこう退けた。
「聞き取り調査終了前に既に談話の原案が作成されていた」
ここでも河野氏の言葉の信じがたい軽さが明らかになったわけだ。河野氏は一体何がしたかったのか。

「あの報告書には足すべきところはない。全く正しい。引くべきところはない。正しい」
政府が報告書を公表した翌日の6月21日、河野氏は山口市での講演でこう言い切っている。つまり、今まで自身がメディアで訴えてきたことは虚言であったと認めたわけである。ならば国民に向かって言うべきことがあるのではないか。
三権の長である衆院議長まで上り詰めた河野氏である。長年所属した国会の場で、けじめをつけるべきだろう。(産経・政治部編集委員)
杜父魚文庫

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