■米国メディアは「事実を述べただけ」
アメリカのバイデン副大統領が中東各国によるイスラム過激派組織「イスラム国」への対応を批判するような発言を行ったとして、トルコなどが反発していて、副大統領側は釈明に追われています。
アメリカのバイデン副大統領は2日、マサチューセッツ州の大学で行った講演の中で、多くの外国人の若者などがトルコを経由し「イスラム国」の戦闘員として参加したことを踏まえ、「トルコのエルドアン大統領は“多くの人を通しすぎた”と話していた」と述べました。
また、同じ講演でUAE=アラブ首長国連邦やサウジアラビアについて「シリアのアサド政権と戦う勢力に対し大量の資金と武器を供与してきたが、それが過激派組織に流れていた」と述べました。
こうした発言を受けてトルコのエルドアン大統領は4日、記者会見し「バイデン副大統領は謝罪しなければならない」と怒りをあらわにしたほか、UAEの外務省も5日、「発言は事実とかけ離れている」とする声明を発表しました。
これに対して、バイデン副大統領側は5日までにエルドアン大統領に謝罪を述べたほか、UAEに対しては「発言はUAEが『イスラム国』などの過激派組織の活動を支援したと示唆するものではない」と釈明したということです。
アメリカが主導する「イスラム国」に対する軍事行動が効果を挙げるには中東各国の協力が重要で、これまでにUAEが空爆に参加したほか、トルコもこれまでの方針を転換して協力姿勢を鮮明にしたばかりで、バイデン副大統領の発言の影響が懸念されます。(NHK)
■バイデン米副大統領:火消し躍起 「中東友好国は過激派の武器・資金源」と発言
【ワシントン和田浩明】バイデン米副大統領は先週末、中東の友好国であるトルコとアラブ首長国連邦(UAE)の指導者に相次いで電話し謝罪や釈明をする事態に追い込まれた。
講演でこうした国々がシリア内の過激派組織に資金や武器を供給したと発言したためだ。一方、米国メディアは「事実を述べただけではないのか」と謝罪に疑問を示しており、アーネスト大統領報道官は6日の定例会見で火消しに追われた。
トルコとUAEはいずれも、イラクとシリアで活動するイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」に対抗する米主導の有志国連合メンバーで、UAEはイスラム国部隊の空爆にも参加している。
バイデン副大統領は2日、ボストンでの講演で、シリア情勢に関し「我々の最大の問題は友好国だ」と発言し、問題となった。また、トルコとUAEなどを名指しし「(シリアの)アサド(政権)と戦う者なら誰にでも大量の資金と武器を与えた」と述べ、供与先には国際テロ組織アルカイダ系などの過激派組織が含まれていたと述べた。
この発言に対し、トルコのエルドアン大統領は事実を否定。バイデン氏は4日にエルドアン氏に電話で謝罪。5日にはUAEのムハンマド・アブダビ首長国皇太子に電話し、釈明した。
だが、6日のホワイトハウスの定例会見では、記者から「バイデン氏の発言は、これまで政権幹部が言ってきたことではないか」などとの質問が相次いだ。アーネスト報道官は直接的には答えず「トルコなど地域諸国と米国は、イスラム国への要員や武器の流入を防ぐため取り組んでいる」などと連携を強調した。(毎日)
杜父魚文庫
17393 米副大統領が中東巡る発言で釈明 古澤襄

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