17401 姿見せぬ金正恩氏、深まる謎    古澤襄

■実権喪失との説も 米ウォール・ストリート・ジャーナル
北朝鮮ウオッチャーの間では金正恩第1書記に何が起きたのかという疑問が渦巻き、世界中のメディアの注目も高まっている。正恩氏は長い間姿を見せておらず、何らかの重大な権力移行、あるいは体制崩壊の前触れではないかとの臆測すら飛び交っている。
正恩氏は9月3日にコンサートを鑑賞して以来、公の前に姿を現していない。これは2011年12月に北朝鮮トップの座についてから最も長い「所在不明」期間となる。
正恩氏は父である故金正日氏の朝鮮労働党総書記選出17年を記念する7日の会合にも姿を見せず、臆測はさらにヒートアップしてきた。
北朝鮮の国営メディアは正恩氏の状況について、最近は「不安定だ」と伝えるだけで、それ以上の情報を提供していない。韓国の政府関係者や専門家らは、これを正恩氏の健康不安と結びつけている。
一部では、正恩氏が痛風など足の問題を抱えていると信じられている。ここ数カ月、同氏が足を引きずって歩く場面が見られたからだ。
最近、韓国を訪問した北朝鮮の政府幹部は健康不安説を一笑し、正恩氏の健康には「何の問題もない」と述べた。
韓国の政府関係者は正恩氏を巡るさらなる臆測を控えた。ただ、聯合ニュースによると、韓民求国防相は7日、正恩氏が「平壌北部のある場所にいる」と情報当局から報告を受けたことを明らかにした。
脱北者の運営するソウルの報道機関はここ数カ月で北朝鮮の権力構造に変化が起こったと報じ、世界中のメディアがこの報道を引用した。
北朝鮮を専門とするニュースサイト「ニュー・フォーカス・インターナショナル」によると、正恩氏が単なる名誉職に就き、朝鮮労働党組織指導部の幹部らが実権を握ったという。この幹部の中には、4日に韓国を訪れた派遣団を率いた黄炳瑞氏が含まれる。

これは正恩氏が健康問題よりも不吉な何らかの理由により姿を消したという説が当てはまる。ただ、正恩氏が権力の構図から外されたという説は、金一族を国のトップに据え置くことが北朝鮮指導部の体制にとって不可欠だという専門家の見解と相いれないものだ。
今、注目は10日に開かれる労働党設立69年式典に正恩氏が姿を見せるかどうかに集まっている。ここでも姿を見せなければ、北朝鮮指導部内で発生している混乱への臆測が一段と強まりそうだ。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
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