■大手金融機関が破綻時の対応を確認
【ワシントン】英米の金融当局は13日、両国で営業する大手金融機関が破綻した場合の対応を確認するため模擬演習を実施する。
参加するのはジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会議長、ジェイコブ・ルー米財務長官、イングランド銀行(英中央銀行)のマーク・カーニー総裁、ジョージ・オズボーン英財務相ら両国の金融当局者。米バージニア州アーリントンに集まり、仮想の大手国際金融機関が破綻したとの想定の下で演習を実施する。
英米の金融当局がこうした演習を実施するのは初めて。2008年の金融危機を踏まえ、当局は国の垣根を越え6年間をかけて、税金による救済を行わず市場の混乱を避けながら大手銀行の破綻を処理する戦略を構築した。今回の演習ではこの戦略を検証する。
当局は金融機関の「大きすぎてつぶせない」問題の解決に取り組んでおり、その一環として、演習を通じて新たな破綻処理戦略が機能することを世界に示したい考えだ。
オズボーン財務相は10日、記者団に対し、「われわれはこれまでは大きすぎてつぶせなかったであろう金融機関に対応できることを確認したいと考えている」と述べた。「(対応の)枠組みには自信があるが、テストを行う」。
関係者によると、現実に危機が生じた際に重要な決定を行う英米の責任者が模擬演習のために集まるのは初めて。関係する英米当局者全員が今週末、一連のIMFの会合に出席するためワシントンに滞在していることから、演習は13日に設定された。
演習はワシントンに近いバージニア州アーリントンにある米連邦預金保険公社(FDIC)のオフィスで行う。英国で営業する米国の銀行が破綻したケースと米国で営業する英国の銀行が破綻したケースの2つのシナリオについて対応を確認する。
10年成立の米金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づき、経営危機に陥った大手金融機関が通常の破綻手続きを取ると経済に大きな影響が出る場合は、米当局は金融機関を管理し解体する権限を持つ。
FDICは経営危機にある金融機関の親会社を管理下に置き、親会社の資産と一定の負債を新たな継承機関に移転する手法を構築した。親会社が破綻処理されている間も各国の子会社は営業を続けて重要なサービスを提供し続けることができる。損失は株主が負担し、長期債務は新会社の資本を強化するため株式に転換される。他の国も同様の戦略を策定しようとしている。
大手金融機関の影響力は本国以外にも及んでいるため、このような破綻処理が機能するには国際的な協調が不可欠だ。米国の銀行は英国で、英国の銀行は米国で多額の融資を実施している。FDICによると、例えば、米国の大手金融機関が海外で保有する資産とデリバティブの80%以上が英国に集中している。
08年の金融危機当時、各国の当局間はスムーズに連携することができなかった。リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが米国で破産手続きに入ったときは、世界各地にある子会社が別々に破産手続きを開始してサービスが停止、市場ではパニックが起きた。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
杜父魚文庫
17433 英米金融当局が13日に模擬演習 古澤襄

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