17474 味噌談義、お歳暮談義     古澤襄

また食のことか、と言われそうだが、久しぶりに横浜の従妹から電話があった。まだ還暦にはならないわよ、と言いながら話題は食べ物のことになる。
夏のお中元で信州の従妹から、長野県一おいしい味噌との触れ込みで信州味噌を2キロ送って貰ったのが、そろそろ無くなる。さりとてスーパーで一番高い味噌を買う気も起こらない。「兄さんのところも2キロ!私のところもアコちゃんから2キロ送って貰った」と時ならぬ味噌談義となった。
信州の従妹からお歳暮の味噌を他力本願で期待するのも褒められたものではないので、横浜の従妹の電話が終わったら信州の味噌蔵に電話した。ここのご主人が長野県立上田高校の卒業生、いうなら私の後輩なのでつい気が大きくなったせいか5キロ箱の味噌を注文した。明日にはお宅にお届けしますと言ってくれた。
さすがに5キロでは半年かけても食べきれない。二人の娘たちが遊びにきたら、「最高の無添加味噌だ」と教えて1キロずつ分けてやるつもりでいる。
お歳暮のことだが、これまでは女房が差配していたが、認知症なってしまったので、ことしから私がやることになった。イオンから送られてきた「冬ギフト」162ページをみていると、さすがに眠気を催す。だいたいお歳暮というのが12月の贈り物と心得ていたが、10月半ばに「冬ギフト」が送られてくるのは、どういう魂胆なのだろう?おまけに早めに注文すれば10%OOFだと早得催促。
だが値段も手頃で、カラー写真も食欲をそそる。菩提寺の和尚さんが夏に送ってくれた「佐藤養助・稲庭干饂飩」も出ていた。あれこれ品定めをしている中に、いっそのこと一品だけ自家に注文して味調べをしたうえで、ことしのお歳暮を決めようと思い立った。女房に相談すれば「そんなの無駄な贅沢!」と反対されるだろう。
注文したのは「きりたんぽ 比内鶏鍋(秋田)」「なごやきしめん亭半生めん(名古屋)」「ヤマキ産地こだわり麺(名古屋)」「霧島黒豚煮込みハンバーグ・セット(宮崎)「瀬戸の晴姫みかん(愛媛)」・・自分が食べてみて、一番おいしかったものを一年の終わりに送ってあげる・・これが日本人のもてなしの心ではないか。
戦後の日本人は占領政策の影響を受けたせいか、カネ・モノ人間が多くなった。「武士は食わねど高楊枝」といった高い気位の男などトンと見当たらない。
せめて自分の身の回りの人たちだけでも他人に優しい、心豊かな人たちに囲まれて日々を送りたい。
杜父魚文庫

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