■政府・与党、松島法相を含め“辞任ドミノ”を警戒
小渕優子経済産業相の政治資金に関し新たな疑惑が浮上したことで、政府・与党内に、うちわ配布問題を抱える松島みどり法相を含めた「辞任ドミノ」を警戒する声が出始めた。不祥事で閣僚の辞任、交代が相次いだ第1次安倍晋三政権と同じ轍(てつ)を踏みかねない深刻な事態に、官邸サイドには緊張が走っている。(沢田大典)
「お騒がせをして、本当に申し訳ない。閣僚の一人として、大きな責任を思うところだ」
17日、国会内でそう語った小渕氏。辞任を明確に否定することはなく、その表情はこわばっていた。
小渕氏は17日夜に予定していた衆院経産委員会の委員との懇親会や、18日の愛知県出張の一部日程を取りやめ、臆測を呼んだ。
与党幹部からは突き放したかのような発言も出ている。自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で「きちっと説明責任を果たしていただかなければならない」と強調。公明党の井上義久幹事長も同調した。
小渕氏は自民党内で「将来の首相候補」の一人とされており、同氏周辺には「ズルズルと追及されるよりも、早期辞任で捲土(けんど)重来を期すべきだ。後援会や事務所を立て直し、次期衆院選でみそぎを済ませたい」との声があるのは事実だ。ただ、早期に辞任すれば野党を勢いづかせることになりかねない。
野党は同時並行で、松島氏への追及も強めている。民主党は17日、東京地検特捜部に公職選挙法違反罪で松島氏への告発状を提出した。告発人となった階猛衆院議員は会見で「職を辞すべきだ」と訴えた。
捜査を行う検察を所管する法相が刑事告発される事態に、維新の党の松野頼久国会議員団会長は会見で「法相が国会で答弁した場合に指揮権にあたるのか、という問題が発生する。答弁ができないなら、潔く身を引いていただかなければならない」と述べた。
松島氏は首相官邸で記者団に、刑事告発へのコメントは避け「法相としての仕事をきっちりとやっていく」と辞任を否定した。
第1次安倍政権では、事務所費問題を受けて佐田玄一郎行政改革担当相(当時、以下同)が辞任したのを皮切りに、松岡利勝農林水産相が自殺するなど次々と閣僚が交代し、退陣に追い込まれた。ある閣僚は「辞めるとドミノになるから、耐えて状況を見極めるべきだ」と語る。「悪夢」の再来は避けたい-。そこにはそんな思いがにじむ。(産経)
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17479 小渕経産相の政治資金疑惑で 古澤襄

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