17480 中国の労働争議、各地で頻発    宮崎正弘

■しかも激化。警官隊導入で収拾のメドなし 江蘇省の照明器具企業では女工数百名が負傷 重慶のファックスコムでも。
IMFが発表した「購買力平価でみるGDP比較」では中国が17兆6000億ドルとなって、同米国の17兆4000億ドルを上回り、世界一という。
これはジョークなのか、警告なのか。ちなみに一人あたりのGDPでは米国が51248ドル。中国は6629ドルとなって世界86位(「購買力平価」とはPPP,当該国の物価水準をビックマックの値段などで国際比較する指標)。
もうひとつちなみに実質GDPは米国が16兆1900億ドル、中国は9兆ドル、日本は5兆9900億ドルとなる。これはドル建てベース、しかも昨年度統計だから1ドル=90円の頃の計算である。
実態の中国経済は真っ逆さまだ。いまや中国名物の労働争議、あちこちでますます過激化し暴力化している。
九月には深センの「信義瑠璃位」の工場で1000名の従業員が参加するストライキが発生した。工場長は中央政治局常任委員の張高麗の親戚と言われ、華字紙が報道した。
九月下旬には福建省厦門の「奇実実業」で200名の従業員がストライキ、蘇州の「安状電子」でも600名がストライキ。

 
10月に入っても労働争議は納まる気配がない。
山西省臨扮市の三維集団では賃上げのほか医療保険の改善などを求めて、2800名がストライキを行った。このあたりは平均賃金が1000元という安さ、それにもかかわらず経営者が70万元(会長)、50万元(社長)とは「あまりの格差」ではないか、と訴える。
10月8日には重慶の「富士康」(ファックスコム。台湾系。前中国に20万人の雇用)で2000名の従業員がストライキに参加し付近の道路を塞いだ。
このため交通渋滞が遅くまで続いた。
かれらのスローガンは賃上げ要求と待遇改善で、横断幕には赤字に黄色で、「これじゃ飯も食えん(我門要吃飯)」と書いてあった。
そして10月15日、江蘇省准安市連水県にある「強陵昭明」では1700名がスト。この企業は米国系である。平均賃金は3500元だが、「4000元の賃上げと待遇改善。とくに15分で昼飯をくい、5分しかトイレ休憩がないという過酷な条件は改善せよ」とストライキに訴えた。
こうした労働者のストライキに経営側はいきない警官隊を導入し、強制排除。しかしネットで写真がたちまち世界に伝わるため、強圧的な血の弾圧を避ける傾向が見られる。なかにはSWATを導入した工場もある。SWATは特殊部隊、テロリスト対策の警備チームである。
杜父魚文庫

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