■群馬特有の事情との指摘も…
「なぜ問題が起きたか、自分でも疑念を持っている」。小渕優子氏は20日の辞任会見で無念さをにじませた。
これに呼応するかのように、小渕家の父娘2代にわたり秘書を務めた群馬県中之条町の折田謙一郎町長(66)が「私が問題の収支報告書を作成した」と名乗り出た。
折田氏が小渕氏とは無関係に不透明な会計処理をしていたという構図が浮かぶが、政界関係者は問題の根本背景として「二世議員の脇の甘さ」や「群馬特有の選挙事情」の存在を指摘している。
「子供のころから一緒に過ごしてきた信頼するスタッフが収支報告書を提出すると報告されていた。何か問題があれば報告がくると思っていた」「関連団体のお金の収支の全体像は私自身も見通せていない。監督責任を果たせていなかった」
小渕氏は会見で、自身が代表を務める資金管理団体や、「観劇会」をめぐる不透明な収支が問題となった「小渕優子後援会」など複数の関連政治団体の会計について、事実上、事務所スタッフに“丸投げ”していたことを認めた。
小渕氏の父である小渕恵三元首相をよく知るベテラン国会議員秘書は「恵三氏の時代には、地元群馬の関連政治団体の経理も東京の事務所で行い、恵三氏のチェックもあった。しかし優子氏への代替わりを機に、地元団体の経理は地元で行い、東京はノータッチになった」と明かす。
別のベテラン秘書も「『初の女性首相候補』と期待されていた以上、自身のカネの流れには常に敏感でなければならない。脇が甘い」と手厳しい。
40歳の若さで当選5回を誇り、選挙でも対抗馬を寄せ付けない絶対的強さを持つ小渕氏だが、「そもそも地元の支援者組織は恵三氏が苦心して作り上げたもの。優子氏はそれを引き継いだに過ぎない。苦労をしていない」と地元政界関係者は話す。
東京で育ち、初当選から人気議員として全国に呼ばれることが多かった小渕氏。政界関係者は「まだ若くて地元とのつながりが薄いため、恵三氏の時代からの秘書だった折田氏との力関係が逆転し、折田氏が作成する収支報告書に口を出したり、チェックしたりすることができなくなったのではないか」と推察する。
別の地元政界関係者は「折田氏は自民党県連の幹部よりも実力者だ。後援会の運営も1人で取り仕切り、誰も口出しができなかった」と証言する。
群馬県は中選挙区時代、恵三氏のほか中曽根康弘氏や福田赳夫氏ら3人の首相経験者が、『上州戦争』と呼ばれる熾烈(しれつ)な選挙戦を繰り広げた土地だ。
あるベテラン秘書は「当時は今では考えられないような有権者接待が公然と行われており、政治資金への世間の目も厳しくなかった。折田氏はそうした群馬特有の古い選挙体質をいまだに引きずっていたのではないか」と話した。(産経)
杜父魚文庫
17505 背景に二世議員の「脇の甘さ」 古澤襄

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