17603 効果が焦点 日銀の「追加金融緩和」     古澤襄

■決定で賛成が5人、反対が4人。の1票差。反対4人は全員が民間企業出身者
日銀は31日、消費税率引き上げ後の個人消費の低迷などを背景に物価の上昇が鈍っているとして、去年4月の大規模な金融緩和の導入後初めて、追加の金融緩和に踏み切りました。委員の間でも賛否が割れた今回の決定が、今後、企業向けの融資の増加や賃金の引き上げなど、経済の前向きな循環をどこまで後押しできるかが注目されます。
日銀は、31日に開いた金融政策決定会合で、デフレからの脱却や2%の物価目標の実現に万全を期すため、市場に供給する資金の量をこれまでより年間10兆円から20兆円増やして年間80兆円とする追加の金融緩和に踏み切ることを決めました。
株価の大幅な上昇など市場に驚きを与えた今回の追加緩和の理由について、黒田総裁は、消費税率の引き上げ後、内需が弱めの動きになっていることやこのところの原油価格の下落、それにヨーロッパをはじめとする世界経済の下ぶれを背景に、物価の上昇が鈍っていることを挙げ、日銀としてデフレに逆戻りするリスクを未然に防ぐ考えを強調しました。日銀としては、これまで以上に大量の資金を市場に行き渡らせることで、企業向けの融資の増加や設備投資の活発化、賃金の引き上げなど、経済の前向きな循環を確かなものにしたい考えです。
また、市場では、政府が消費税率を10%に引き上げるかどうかの判断を前に日銀が追加緩和を決めたことで、予定どおりの増税を促す形になったという見方も出ています。
その一方で、今回の決定では、9人の政策委員のうち、4人が反対に回る異例の結果となり、追加緩和の効果や適切な時期について意見が大きく分かれました。金融政策だけで経済の底上げを図るのは限界があるという声は日銀内部でも根強く、今後は、追加緩和も含め、政府・日銀の総動員の政策で景気を早期に着実な回復軌道に戻せるかが焦点になります。
(NHK)
杜父魚文庫

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