17641 米共和党、両院過半数か     古澤襄

■中間選挙、きょう投開票
残り2年間となったオバマ政権の方向性を大きく左右する米中間選挙が、4日に投開票される。下院で多数派の野党・共和党が上院でも過半数を獲得し、上下両院を制するかどうかが焦点だ。州知事選や地方の首長選も実施されることから、オバマ大統領ら大物政治家も国内各地を飛び回り、有権者への最後のアピールに努めた。
 ◆大統領演説に抗議
オバマ大統領は2日、選挙戦最後の日曜日をコネティカット、ペンシルベニア両州知事候補の応援演説に費やした。コネティカット州ではブリッジポートの高校で1900人の聴衆を前に民主党政権下での景気回復をアピールした。
演説は、移民法の改正が進んでいないことに抗議する団体が叫び声を上げるなどしたため5度ほど中断。これに対しオバマ大統領は、制度改革が実現しなかったのは共和党が議事進行を妨害したためだと強調した。
民主党の州知事として再選を目指すダン・マロイ氏は、オバマ大統領の応援を受け「米国では、すべての国民に成功の恩恵を行き渡らせるのが政治家の義務だ。富める者をさらに富ますことではない」と述べた。
リアルクリアポリティクス・ドット・コムが実施した最新の世論調査によると、マロイ氏と共和党の対立候補、トム・フォーリー氏とは現状で大接戦を演じている。従来コネティカット州の民主党候補は、中間選挙の得票率が大統領選を下回る傾向にある。
ワシントンの連邦議会は上院(定数100、任期6年)の3分の1、下院(定数435、任期2年)の全議席が改選される。上院の今回の改選議席数は36だ。
また州議会は、各州上下両院を合わせた99議会(ネブラスカ州のみ一院制)で選挙が行われる。現在は59の議会で共和党が多数派を占める。
ワシントンに拠点を置く共和党議会選挙運動委員会(RLCC)は、今回の中間選挙でこれを66まで増やしたいとしている。前回2010年の中間選挙では21の議会で共和党が新たな多数派となり、各州で減税や妊娠中絶の制限、公務員の団体交渉権の規制といった政策が相次いで実施された。
 ◆史上最多迫る勢い
超党派の非政府組織(NGO)、NCSLのアナリスト、ティム・ストーリー氏(コロラド州デンバー在勤)は「州議会選挙の結果が住民の生活や公共政策に及ぼす影響は決して過小評価できない。連邦議会の議事進行がほとんど行き詰まっている現状ではなおさらだ」と説明する。
同氏によれば、各州議会のうち共和党が上下両院で多数派を占める州は27と、史上最多の30州を押さえた1920年に迫る規模だという。
RLCCは今回の中間選挙でアイオワ州上院、ケンタッキー州下院、ニューハンプシャー州下院を、新たに共和党の支配下に置くことを目指すとしている。
これに対し、民主党議会選挙運動委員会(DLCC)の幹部を務めるカート・フリッツ氏は、ウィスコンシン州上院をはじめとする5つの議会を共和党から奪い返せるとの認識を表明。このほかアイオワ、ネバダ、コロラドの上院とミネソタ、ニューメキシコ、ケンタッキー、ウェストバージニアの下院を死守することを最重要課題に挙げた。
NCSLのストーリー氏は、共和党にとって前回大幅に拡大した勢力図をそのまま維持するのは至難の業だと指摘。「共和党はある意味で自らの成功の犠牲者になっている」と語った。(ブルームバーグ Mark Niquette、Toluse Olorunnipa)
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