17643 欧州委、ユーロ圏成長率予想を引き下げ     古澤襄

■リセッション再突入は回避
[ブリュッセル 4日 ロイター]欧州委員会は4日発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の成長率について、2014年が0.8%、15年1.1%、16年1.7%と予想した。15年の成長率を1.7%としていた春季予測に比べて、景気回復が遅れる見通し。
フランスとイタリア経済の低迷を受け、春季予測から下方修正した。ただし、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が前月の欧州連合(EU)首脳会議で警告を発したリセッション再突入は回避する見込みを示した。

欧州委で経済・通貨問題を担当するモスコビシ委員は会見で、「単純な解決策はないが、明らかに景気は本格回復できずに苦戦している」と述べた。
カタイネン副委員長(成長・雇用担当)は、ドイツは回復支援に向け投資を拡大する必要があるとの見解を示した。「ドイツはEU・ユーロ圏の経済刺激策で重要な役割を果たすことができる」としたうえで、「ドイツ経済の将来的な繁栄のため、投資することは道理にかなう」とした。
ただ、ドイツだけではなく、EU加盟国すべてが成長押し上げに向けた改革を実施する必要があるとした。欧州委はドイツの2015年の成長率が1.1%になると予想。春季予想の2%から引き下げた。
ドイツのメルケル首相はベルリンで雇用主組合に対し、「投資は必要だが新たな借り入れが伴うものは必要ない」とし、債務拡大への懸念を再び表明した。
一方、秋季予測によると、フランスの財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2013年の4.1%から2016年には4.7%に拡大する見通し。同国が追加措置を取らないことを前提としている。
ユーロ圏のインフレ率については、14年が0.5%、15年0.8%、16年1.5%と予想。ECBの目標である2%弱を下回る状況が続くとみている。
欧州委は「世界金融・経済危機の後遺症で欧州経済は減速している」と指摘した。欧州委の予測を受け、欧州中央銀行(ECB)に日米のような国債買い入れによる量的緩和を求める声が強まりそうだ。(ロイター)
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