■オバマ政権の苦境深まる
[ワシントン 4日 ロイター]米中間選挙は共和党が上院で過半数議席を確保、下院も過半数を維持するという大勝利を収めた。共和党は2006年の選挙以来初めて上下両院で多数派になり、オバマ大統領は厳しい政権運営を迫られそうだ。
共和党候補はモンタナ州、コロラド州、ウェストバージニア州、サウスダコタ州、アーカンソー州、アイオワ州、ノースカロライナ州の上院選で民主党から議席を奪い、勝利。共和党は改選36議席中6議席純増できれば上院で過半数を獲得できるところ、7議席純増を勝ち取った。
ロイター/イプソスの調査によると、上院(定数:100)は、共和党が少なくとも52議席を獲得したもよう。
オバマ大統領は今週末7日、両院の共和・民主党指導部をホワイトハウスに招き会談する。共和党との関係改善を図る目的とみられる。
共和党は政府に対する不満票をうまく取り込み、上院選では民主党が有利とされたノースカロライナ州などで次々に勝利。知事選でも、オバマ大統領の地元のイリノイ州など伝統的に民主党が強い地域を制した。
ケンタッキー州の上院選では、共和党のマコネル院内総務が民主党のグライムズ候補を破り再選を決めた。マコネル氏は民主党のリード氏に代わって多数党院内総務に就任、大きな権限を手にすることになる。
マコネル院内総務は勝利宣言し、「米国は方向転換すべきときに来ている」と演説。オバマ大統領との今後の関係について「われわれは合意できる問題において、協調していく義務がある」との認識を示した。
共和党保守派の代表格とされるクルーズ上院議員は、CNNに対して「共和党にとって最高の夜だ。(選挙結果は、有権者が)現政権をきっぱりと拒否していることを示している」とする一方、「しかし、われわれは今後、国を率いるという責任を負うことになる」とも述べた。
<オバマ大統領、厳しい政権運営に>
共和党が来年1月から下院のみならず上院も支配することで、大統領の政権運営は厳しさを増しそうだ。大統領は、議会の承認が不要な大統領令に頼らざるを得なくなる。議会を通過するのは、通商合意や税制改革など、超党派の合意が得られる法案に限られる可能性がある。
一方、2016年の大統領選を視野に入れる共和党も、政権運営能力を国民に示さなければならないという圧力にさらされることになる。昨年の財政問題では、政府機関を閉鎖に追い込んだとして批判された。
今後、両党が激しく対立するとみられる問題は、移民制度改革とエネルギー政策だ。オバマ大統領は、すでに入国した不法移民に対して条件付きで市民権獲得の道を開く改革について、年末までに大統領令を発令する意向だ。一方の共和党は、カナダからの原油を運ぶパイプライン「キーストーンXL」を承認するよう、オバマ大統領に迫っている。
<ルイジアナ州上院選は決選投票へ>
TV局各社の報道によると、ルイジアナ州の上院選は、民主・共和両候補とも過半数に至らず、12月の決選投票にもつれ込む見込みだ。
同州では、全国的に知名度のある民主党現職のランドリュー氏が4選できるかどうかが焦点。共和党対抗馬はカシディ氏。(ロイター)
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17651 米中間選挙は共和党が上下両院で過半数 古澤襄

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