■共和党の圧勝は大方の予想をさらに上回るもの
【11月5日 ワシントンD.C./米国 AFP】4日に投開票が行われた米中間選挙で共和党が上下両院で過半数を獲得したことにより、与党・民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領にとって残り任期2年の困難な道のりは確定した。
オバマ政権と不評な政策に対し有権者たちが抱く不満の波に乗り、共和党は100議席のうち36議席が改選された上院で少なくとも7議席を民主党から奪い、2006年以来、8年ぶりに両院の主導権を握った。一方、435議席すべてが改選された下院では、2010年以来の多数派を維持したばかりか、さらに14~18議席を上積みし、1946年以来となる最多議席数を獲得しそうだ。
共和党の重鎮で上院指導部のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)議員は、過去30年で最大の難敵に挑まれたがケンタッキー(Kentucky)州で勝利し、民主党のハリー・リード(Harry Reid)議員と入れ替わり多数党の同院内総務となる。マコネル氏は勝利演説で「(オバマ政権の)大きな政府の実験は長引き過ぎた。新たな方向へ進む時だ」と述べ支持者らを沸かせた。
■ドミノ倒しさながらの惨敗
開票直後から、民主党にとっては悲惨な夜だった。上院ではアーカンソー(Arkansas)、ノースカロライナ(North Carolina)、コロラド(Colorado)でドミノ倒しのように次々と現職が敗北。逆に共和党が強いジョージア(Georgia)、カンザス(Kansas)、ケンタッキー州で挑んだ民主党候補はまったく太刀打ちができずに終わった。アイオワ(Iowa)では同州初の女性上院議員が誕生し共和党が52議席目を獲得した。ルイジアナ(Louisiana)州では民主党の現職が勝ちきれず、12月の決選投票へ持ち込まれた。
同時に36州で実施された知事選でも、共和党はフロリダ(Florida)、ウィスコンシン(Wisconsin)、カンザスといった主要州できっちり再選を果たした他、民主党が優勢の「青い州」といわれるメリーランド(Maryland)やマサチューセッツ(Massachusetts)でも勝利した。しかし、オバマ大統領の地元イリノイ(Illinois)州の知事選は最も痛手だっただろう。イリノイでは現職、民主党のパット・クイン(Pat Quinn)氏を、共和党のブルース・ラウナー(Bruce Rauner)氏が追い落とした。
■有権者の強烈な拒絶
歴史的に現職大統領が率いる党は、大統領の任期2期目の中間選挙で敗北することが多い。ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領以降は例外なく、野党が議会の主導権を握った状態で現職が退任している。
議会で立法の基盤を失ったオバマ大統領は、任期最後の期間でどんな改革案を通過させるにも困難が伴うだろう。景気回復にもかかわらず米国内に広がる苛立ちの空気に共和党は巧みに乗じ、オバマ大統領とその政策を攻撃することを選挙戦の基本とした。
共和党のテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員は米CNNテレビに対し「オバマ氏の掲げる政策に対する強力な拒絶だ」と語った。クルーズ氏は他の共和党議員らと同様に、特に16年の次期大統領選を見据え、国のかじをとる責任は今や共和党の肩にかかっていると述べた。
共和党の圧勝は大方の予想をさらに上回るものだった。ミシガン大学(University of Michigan)のマイケル・ヒーニー(Michael Heaney)助教はAFPの取材に対し、この中間選挙で「共和党は考え得るほとんど最高の結果を手にした」と述べた。
逆境に置かれたオバマ大統領は7日、ホワイトハウスに両党の上下両院の院内総務を招く予定だ。(AFP)
杜父魚文庫
17652 オバマ大統領の民主党惨敗、米中間選挙 古澤襄

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