■マコネル共和党院内総務
米国の中間選挙で共和党が上下両院で過半数を占め、2カ月後には両院で主導権を握ることになる。オバマ大統領率いる民主党は完敗し、政権は厳しい立場に立たされる。それは日本にとってどんな意味があるのか。注視したい3つの分野を以下に示す。
■貿易交渉
共和党の勝利は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉を促す公算が大きい。貿易の自由化を主張する共和党は、関連の各委員会で発言力を高める見通しだ。
ある意味で、それは日本にとって好材料だ。というのも、どのような貿易協定であれ、日本はそれが米上院に批准されると一層の確信を持てるからだ。ただ、米国が何らかの合意に向け強行姿勢に出れば、日本は農業分野で譲歩を迫られる可能性がある。菅義偉官房長官は、中間選挙の結果が「日米関係に及ぼす影響はない」と述べた。
■アジア太平洋の安全保障
オバマ大統領は「アジア回帰」の戦略を打ち出したが、共和党議員や中東の混乱をかわしつつアジアにどれほどの関心を向けることができるのかは不明だ。暫定予算案をめぐる議論で連邦政府機関が閉鎖され、オバマ氏がアジアで開かれた一連の会議をキャンセルしたのはわずか1年前だ。
レームダック(死に体)のオバマ大統領が中国やロシアの拡張主義をけん制することができるのか。オバマ氏は北京のアジア太平洋経済協力会議など、アジア太平洋地域で開かれる一連の国際会議に参加する予定で、その際にその対応の一端をわれわれに見せることになるだろう。
■エネルギー
米国のエネルギー生産・輸出拡大計画は議会の主導権を握る共和党のもとで進展をみせる可能性がある。ベイナー下院議長とマコネル共和党院内総務は5日、ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、「米国で高まりつつあるエネルギーブームを拡大する」用意ができていると語った。
共和党は、カナダの原油をメキシコ湾の精油所に運ぶ石油パイプライン「キーストーン」を完成させたい考えだ。
2011年の原発事故を教訓に原子力発電を輸入エネルギーに置き換えた日本は、世界のエネルギー価格の変動に左右されやすい状況にある。米国からのエネルギー輸出が増えれば、日本は燃料の安定供給を確保できる。ただ短期的には、原油価格の下落はインフレ率押し上げに向けた日銀の取り組みの妨げとなっている。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
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