17775 注目される大手紙の選挙情勢調査    古澤襄

自民党は早々と第一回の選挙区情勢調査を行った。ライバルの民主党についても調査しているが予測以上に民主党が不振と出た。思わず頬の緊張が緩む情勢調査だったので外遊から帰国した安倍首相は、むしろ党内に弛みが出るのを怖れたという。
過半数238とか安定多数249というのは理論値に過ぎない。あえて低すぎる”勝敗ライン”を持ち出したのは、党内の弛みに緊張感を持たせようという首相なりの計算があったのだろうが、自・公両党の幹部からは不評を買った。
早速、選挙後の国会対応に当たる自・公両党の国対委員長から270前後の”絶対安定多数”を目指すという上方修正の発言が相次いでいる。
絶対安定多数は与党が全ての常任委員会で委員長を独占し、全委員会で委員の過半数を占める議席数を指し、定数475で争われる次期衆院選では266議席となる。
だがこの数字も、まだ低い理論値に過ぎない。選挙区情勢調査ではさらに高い予測値が出ている。自民党選挙対策の実務者は各県連と協議して当選ラインにある候補者はじめ各候補の票の上積みに力を入れている。必要なら候補者の差し替えをする考えでいる。
最終的には比例復活で当選する候補者を見込み300議席獲得を目論んでいる。民主党が足踏み状態にある選挙区情勢が明らかになるにつれて、自民党の野心が膨らんでいるが、さて計算通りにいくか開票箱を開けてみるまで分からない。
12月2日の公示日以降、大手紙も選挙情勢調査と世論調査を実施するが、マスコミの選挙予測はかなり精度が上がっている。各社とも数千万円から一億円以上の経費をかける調査だから、意図的に数字をいじったりすることは出来ない。そんなことをすれば内部告発される。
本来なら各選挙区ごとのサンプル数を増やし、調査の精度をさらに高めたいところだが、新聞業界も不況の直撃を受けているので、それは難しい。したがって大手紙の選挙情勢調査でも選挙区によっては外れることはあり得るが、全体の傾向としては「おおむね」正しい予測が出るだろう。
マスコミの予測値と各党の選挙区情勢調査が、どう整合性を持つか、これも12月選挙の最初の見所になるに違いない。
杜父魚文庫

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