■議会・共和党がオママ批判色濃く
【ワシントン西田進一郎】ヘーゲル米国防長官が24日、辞任を表明した。事実上の更迭で、約6年間のオバマ政権で3人目の国防長官辞任となるが、過去に長官を務めたゲーツ、パネッタの両氏はいずれも辞任後、政権の外交・安全保障政策や意思決定過程などを批判していた。ヘーゲル氏もシリア政策を巡るホワイトハウスとの対立が辞任につながった。大きな政策転換もないまま長官交代が続く背景として、定まらない政権の外交政策のほか、ホワイトハウス内の側近ばかりを重用するオバマ氏の姿勢が指摘されている。
「長官が3人代われば、大統領は『問題は彼らなのか、自分なのか』を(自身に)問うべきだ」。マキオン下院軍事委員長(共和党)は24日の声明で、オバマ氏を痛烈に批判した。来年1月からの議会で上院軍事委員長に就任する見通しのマケイン上院議員(同)も声明で「前任者たちもホワイトハウスからの過剰な指図で仕事の邪魔をされたと証言した。チャック(・ヘーゲル氏)も同じだ」と、問題がホワイトハウス側にあると指摘した。
オバマ氏はイラクからの撤退とアフガニスタンでの戦闘終結を公約に掲げて大統領に就任した。2011年には国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害。イラクからは同年末に撤退し、アフガンからは16年末の完全撤退に道筋をつけた。
しかし、政権内部では政策を巡るぶれと対立が目立つ。ゲーツ氏の回顧録によると、アフガン政策ではオバマ氏は自身が承認した増派戦略に自信を失い、戦闘からの撤退に懸命になったうえ、自ら選んだ戦闘指揮官にも批判的になったという。一方、パネッタ氏は回顧録で、イラク撤退にあたって残存部隊を維持しようとした国防総省をホワイトハウスが押し返し、間違った決定をしたと批判した。
シリア内戦の初期には、オバマ氏は反体制派への支援強化に踏み切らなかった。反体制派はクリントン前国務長官らが支持したが、結果的に「大きな空白」(クリントン氏)が生まれた。イスラム教過激派組織「イスラム国」が台頭し、新たな「テロとの戦い」を強いられることになった。(毎日)
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