■原油安や生産上振れ材料視
[東京 28日 ロイター]東京株式市場で日経平均は3日ぶりに反発。前日比で200円を超える上昇となった。1ドル118円台への円安進行を背景に、主力輸出株への買いが先行。朝方発表された10月鉱工業生産が予想を上回ったことも、市場心理の改善につながった。
石油輸出国機構(OPEC)による減産見送りで原油先物価格が下落し、燃料費が抑制されるとの見方から空運や海運などの上昇が目立った。月末のドレッシング買いも観測された。
前日の米国株式市場が感謝祭で休場となり、きょうも短縮取引となるため、海外投資家の動きは乏しかったが、日経平均は高値圏で堅調だった。
市場では「原油価格の下落の背景には世界需要の低迷というリスク要因を内包しているが、きょうは鉱工業生産が上振れしたことで前向きな評価が高まり、景気敏感株への物色につながった」(ちばぎんアセットマネジメント調査部長の奥村義弘氏)との声が出ていた。
月末を前にファンド勢の買い需要が発生しているとの見方も株高を支援した。もっとも目先の上値めどとして日経平均の節目1万7500円が意識され、同水準に接近する場面では利益確定売りに上値を押さえられた。来週には11月米雇用統計など重要な経済指標の発表が予定されており、積極的に上値を買う動きも限られた。
経済産業省が寄り前に発表した10月鉱工業生産指数速報は前月比0.2%上昇で、ロイターの事前予測調査での前月比0.6%低下の予想を上回った。生産予測指数は11月が前月比2.3%上昇、12月が同0.4%の上昇となった。市場では「低迷した7─9月期から持ち直しの局面にあることが確認される内容」(松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)と評価する声があった。
個別銘柄では原油安の恩恵を受けやすいANAホールディングスや川崎汽船、ブリヂストンなどが年初来高値を更新。円安進行を背景にソニーやトヨタ自など主力輸出株の一角も高値を更新した。デンソーとブレーキシステム事業の統合が報じられたアイシン精機も高い。
半面、原油先物価格の下落を嫌気して国際石油開発帝石や石油資源開発、出光興産、JXホールディングスなど石油関連銘柄が軒並み売られた。
東証1部騰落数は、値上がり1390銘柄に対し、値下がりが345銘柄、変わらずが104銘柄だった。(ロイター)
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