17866 「野党共闘」ままならぬ大阪の事情    古澤襄

■「民主VS維新」4区で競合、都構想の因縁引きずる
自民と対抗するため、野党が競合する選挙区で候補者の一本化を図る民主だが、「大阪都構想」をめぐって維新の党と激しく対立する大阪では、民主が候補者を擁立する5選挙区のうち、4選挙区で維新も候補者を擁立する構図となった。
党本部が公認を絞り込む形で維新に“配慮”してきた民主だが、激戦区の大阪12区でも新たに新人の擁立を決めた維新に、府連幹部は憤りを隠さない。大阪では、野党共闘とはほど遠い状況のまま、12月2日の公示を迎えようとしている。

「私の名前は知られていないかもしれないが、維新の実績は浸透している」。維新が12区から擁立する新人、堅田壮一郎氏(28)は11月27日、大阪府庁での立候補表明会見で自信をのぞかせた。
同区は、昨夏の参院選で、維新候補が選挙区内の寝屋川、大東、四條畷の各市で最多得票。堅田氏を支援する維新府議は「候補者を立てないという選択肢はない」と語り、選挙戦突入後は、橋下徹共同代表(大阪市長)も応援に入る予定だ。
維新の候補者擁立にやりきれないのが民主府連だ。12区は自民の前職、北川知克氏(63)と民主の元職、樽床伸二氏(55)が選挙戦のたびに小選挙区の議席を奪い合う激戦区で、この状況に堅田氏が割り込む形となる。
樽床氏は「自分の主張をするだけ」とあくまで平静を装うが、府連幹部は「民主と維新で反自民票が割れてしまう」と嘆く。
民主は前回(平成24年)の衆院選の際、大阪の15選挙区で候補者を擁立したが、小選挙区では全敗。巻き返しを図る府連は当初、少しでも多くの選挙区に候補者を擁立する方針だった。しかし、自民と対抗するため、維新との競合を避けたい党本部は、樽床氏を含めた5人しか公認しなかった。

一方の維新は今回、前回と同数の14選挙区に候補者を擁立。結局、民主候補が立候補する5選挙区のうち4選挙区で競合する見通しになった。
11月24日、民主党本部で行われた会議で、府連側は「4区と7区でも公認申請を認めてほしい」と、党本部の岡田克也代表代行に求めたが、岡田氏は「新たな競合区は作らない」とつれなかった。
維新は翌25日に12区での候補者擁立を発表。たまりかねた尾立源幸・府連代表が党本部に問い合わせたが、納得できる回答は得られなかった。「何で俺たちばかりが我慢せなあかんねん」。ある府連幹部は憤りを隠さない。
こうした状況に同選挙区の自民、北川氏の陣営は「選挙情勢は最後まで分からない」と引き締め、共産が擁立する新人、吉井芳子氏(52)の陣営は「反自民の受け皿になり得るのは共産だけ」と訴える。(産経)
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