7年ぶりに実現した経団連と韓国・全国経済人連合会(全経連)との定期会合は、ウォン高に苦しむ韓国財界が、日韓関係の改善に活路を見出そうとしている姿が浮き彫りになった。
そんな中、朴(パク)槿(ク)恵(ネ)大統領は日韓関係の改善に理解を示しながらも、日本の財界人を相手にいつもの歴史認識問題に言及した。
「円安ウォン高で対日本企業との競争力が落ち、新興国市場への輸出が減速している」。定期会合に参加した韓国・LG商事の李(リ)煕(ヒ)範(ボン)顧問は、韓国経済の情勢分析で、為替変動に伴う企業経営を取り巻く窮状を隠さなかったという。
韓国経済は成長率が鈍化し、雇用環境も悪化するなど、20年前の日本が経験したような長期の経済停滞へと差し掛かりつつある。韓国財界は打開の糸口を日本企業からの投資や技術協力などに託すが、朴大統領就任以来、日韓関係は悪化し、両国の経済交流にも減速感が漂っている。
日本側の関係者は「経団連の韓国訪問をテコに、朴大統領の対日政策の転換を心から望んでいるのは韓国財界だ」と指摘する。
朴大統領もこの日の会談で、両国の経済交流の活性化の重要性を訴えたが、その考えは、韓国財界の希望を代弁したものでもあったといえる。
経団連の韓国訪問団も、朴大統領に関するコラムをめぐり、名誉毀損(きそん)で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の問題など、解決が困難とされる懸案には触れなかった。
それでも大統領は歴史認識問題で日本の「真(しん)摯(し)な努力」を求めた。榊原会長は、大統領が関係改善に向けた環境整備に努力する方針を表明したことに満足感を示すが、両国の経済交流の促進には以前と変わらぬ壁が横たわっている。(産経)
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