午前八時から最後のお願い遊説が始まった。午後八時で終わり、月並みだが、泣いても笑ってもハイそれまでよ、である。あとは有権者の審判を待つだけである。
北日本は大雪に見舞われているというのに、わが家にはサンサンたる日差しが射し込んでいる。書斎のガラス戸越しにその陽光を浴びながら、やはり東北の選挙情勢が気になる。
東北6県・25小選挙区には82候補が立ち、比例代表東北ブロック(定数14)の単独候補14を加えると激戦模様。
大手新聞社の世論調査では、自民党は青森の全四選挙区を独占、このほか岩手二区、宮城一、二、三、四、六区、秋田一、二区、山形一区、福島一、二、四、五区の十七選挙区で優位に立っているという。
これに対して民主党は岩手一、三区、宮城五区、福島三区の四選挙区で優位に立っているに過ぎない。東北は小沢一郎氏の金城湯池と言われた頃を思うと今昔の感がある。
残る四選挙区は小沢氏が立つ岩手四区、自民党候補と激しくデッド・ヒートを演じている。秋田三区は自民党と維新の争い。山形二区は先行する自民党候補を民主党が追い上げている。山形三区は無所属と自民党の争い。
読売のポイント調査でも岩手四区は横並び、秋田三区も予断を許さない、山形二区は互角、山形三区は接戦と伝えている。
比例東北の各党獲得議席予測をみると、自民党は七議席(現有六議席)、民主党が三議席(現有三議席)と自民党に勢いがある。
山形三区から引退した加藤紘一氏の三女・35歳の鮎子さんが後継者として自民党から立っている。対するのは元酒田市長の阿部寿一氏。
私が知る加藤紘一氏は大平内閣で官房副長官、中曽根内閣で防衛庁長官、宮沢内閣の官房長官。橋本内閣で党幹事長とトントン拍子で重職に上り詰めた。外務省のチャイナ・スクール出で中国にも知己がいる。宏池会に所属し宮沢会長の後をうけて会長職についたから、宏池会のプリンスとしていずれは総理・総裁になるだろうと噂されていた。
だが好事魔多し、二〇〇〇年の”加藤の乱”で宏池会が分裂、二年後に秘書が不詳事件を起こして逮捕、宏池会会長を辞任し、自民党を離党している。
二〇一二年の総選挙で加藤は自民党公認で立候補したが落選。この時の自民党分裂選挙で対抗馬として立ったのが、前酒田市長の阿部寿一だから、山形三区をめぐる因縁の対決といえる。
杜父魚文庫
17948 山形三区をめぐる加藤鮎子VS阿部寿一の因縁の対決 古澤襄

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