北朝鮮がソニーの米映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)に対してサイバー攻撃を行ったとされる問題で、米政府当局者が「相応の対抗策」を講じると表明した後、22日に北朝鮮のインターネットへの接続が不能になった。果たして、米国が遮断したのか。
世界のウェブ・アクセスを監視しているネットワーク・セキュリティー会社クラウドフレアのマシュー・プリンス最高経営責任者(CEO)によれば、その可能性はあるという。同社のエンジニアは、22日の早い時間(米東部時間)から北朝鮮と外部世界とのネット接続ができなくなり、同日昼も接続不能のままであることを確認した。インターネットの状態を監視しているDynによると、同社のテストでは午前11時15分(同)以降、北朝鮮のネット・アドレスへのアクセスが不能になっている。
しかしプリンス氏は、米国による遮断よりも、あり得そうなシナリオとして以下の3つを挙げた。
第1の可能性:北朝鮮自らによる遮断 米国の尺度からすれば正気の沙汰ではないが、シリアなど監視態勢の厳しい国では、対外的に厳しい状況になった場合に、ネット接続を遮断した過去がある。接続を不能にすれば、ネットにアクセスできるごく少数の北朝鮮の国民は、ソニーへのハッキングが引き起こした現在の危機について知ることができなくなる一方、米国やその同盟国からの北朝鮮へのサイバー攻撃を阻止できることになる。
第2の可能性:中国による遮断 北朝鮮は中国の通信大手、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)を通じてネットへアクセスしている。米政府当局者によれば、米国はソニーへのハッキングに北朝鮮が関与していたとされる問題で、北朝鮮に圧力を掛けるよう中国に働き掛けている。
第3の可能性:何者かによる遮断 プリンス氏によると、北朝鮮には世界のネットへの主要な接続ルートは一つしかなく、外国政府や悪意のあるハッカーなどの外部者が北朝鮮のネットワークにマルウェアを侵入させることは可能だ。
プリンス氏は、「どのような理由から北朝鮮へのネット接続が不能になったのか話すのはやや時期尚早」とした上で、ソニーへのハッキングがなかったならば、「私は北朝鮮が何らかの理由からネットを遮断したと判断しただろう」と述べる。
Dynの研究者であるダグ・マドリー氏は、第4の「無害な」可能性も指摘する。それは、一部のネットワーク・ルーターのソフトウエアがエラーを起こしたというものだ。だが同氏は、孤立した北朝鮮のネットワークは小規模なため管理は簡単であり、数時間にわたって偶発的な機能停止が続く可能性はまずないと話す。「そのようなことは北朝鮮では考えられない」という。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
杜父魚文庫
18032 なぜ北朝鮮のネットへの接続が不能になったのか 古澤襄

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