■韓国紙に北岡伸一氏が一問一答
世界平和研究所の北岡伸一研究本部長にはいくつかの肩書がある。東京大学名誉教授、政策研究大学院大学学長特別補佐、国際大学学長、元国連次席大使(2004年4月-2006年8月)などだ。
しかし最近では何より首相諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」の座長という肩書が最も広く知られた。今年論争を呼んだ集団的自衛権容認問題を事実上主導した人物だ。安倍晋三首相の外交安保核心ブレーンの北岡氏は、朴振(パク・ジン)元外交通商統一委員会委員長(現韓国外大客員教授)のインタビューに応じ、「今回の選挙で民主党は自民党の代替勢力になれなかった」と述べた。以下は一問一答。
--集団的自衛権の議論を主導したと聞いているが。
「全世界で集団的自衛権がない国は日本しかない。密接な関係にある国が不当な攻撃を受け、それを放置すれば、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に限り、『必要最小限度』の行使をするということだ。日本より抑制されたルールがある国があれば話してほしい。韓国はベトナム戦争当時に軍隊を送った。集団的自衛権の行使だった。しかし日本はそういうことをしないということだ」
--韓国は日本が平和憲法の枠内で透明に行使することを望んでいる。
「日本の憲法をどう解釈しようと、それは日本が決めることだ。韓国に被害をもたらさないのに、なぜ韓国がどうこうと言うのか。それは内政干渉だ。決して地域の平和や安定が乱れることはしない」
--韓半島(朝鮮半島)で集団的自衛権を行使することも考えているのか。
「韓国が自衛隊の助けを要請すれば、日本はそれを“検討”してみるだろう。要請を受けても『ノー』ということもある。韓国が要請もしないのに我々が勝手に韓国の領土・領海・領空に自衛隊を派遣することは絶対にありえない。もし在日米軍が韓半島の有事の際に出動し、北朝鮮の攻撃を受けて日本に支援を要請してくることがあれば、米国の艦隊を支援しにいくだろうが、そうだとしても決して韓国の領土には承認なしには行かないだろう」
--安倍首相が選挙で圧勝したのを契機に、韓日間の懸案に柔軟な立場を取ることができるだろうか。
「安倍首相のような強硬派がむしろ和解できる。しかし和解は日本の一方的な努力ではできない。韓国は慰安婦問題解決の前提として『日本の誠意ある措置』ばかり一方的に要求するが、それでは絶対に解決しない。双方が努力しなければいけない。現在、日本の若者は『先祖がしたことに対し、なぜ我々を批判するのか』という意見も多い」
--しかし安倍政権がより明確に歴史に対するメッセージを出す必要があるのでは。
「安倍談話にどのような内容が入るかは分からないが、河野談話、村山談話を継承するという言葉が入ればいい。また、個人的にアジア女性基金をもう一度すればいいと思う。しかしこれは韓国の協力なしには不可能だ。お互い和解する考えがあれば、日本も反韓勢力を抑え、韓国も極端な反日感情を抑えながら、手を握らなければいけない。それがだめなら日本としては和解をキブアップせざるを得ない」
--日本国内の嫌韓勢力のヘイトスピーチを法的に規制しようという意見と言論の自由を保障すべきだという両論があるが。
「断固、法律的に規制しなければいけない。これが韓国に対する親善のメッセージになり得る。(韓日間の)直接対話のほかにもできることはいくつかある。その一つはヘイトスピーチを確実に規制すること、そして水面下では韓日共同でアジア女性基金を再実行することだ。
また、表面的には韓日歴史共同研究をもう一度すればどうだろうか。お互いの立場を『絶対的なもの』と見なさず、両論を併記することで、両国の青少年がそれを読んでお互いの立場と考えを分かるようにすればいい。『韓日中30人会(賢人会議)』で提示した共用漢字(808字)の使用を促進することも必要だ。もう一つは靖国神社に代わる追悼施設を作ることだ」
--それは可能だろうか。
「安倍首相の意見は秘密だ。よく知らない。しかし私は建議したことがある。安倍首相の周辺には2つの部類のグループがある。一つは右翼勢力で、もう一つは現実主義だ。安倍首相は政権で一度失敗した後、彼ら(右翼)の助けで再び首相になることができたため、恩義を強く感じる安倍首相としては簡単に彼らを切ることはできないと考えているようだ。右翼は代替追悼施設に反対する。しかし(安倍首相が)そのような提案くらいはしてもよさそうだ」 (韓国・中央日報)
杜父魚文庫
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