ヨーロッパで異文化イスラム教に寛容だったフランスがテロリストの攻撃に晒された。それもフランスで生まれた者のホームグロウン・テロリズム(Homegrown terrorism)だから悲劇このうえもない。
国外の組織が起こすテロリズムでは無く、国外の過激思想に共鳴した、国内出身者が独自に引き起こすテロリズムが何故起こるのだろうか。
同様の例はフランスだけではない。イギリスのロンドン同時爆破事件やアメリカのボストンマラソン爆弾テロ事件もホームグロウン・テロ。
だがイスラム過激派メンバーではない。その過激思想に共鳴して、それら過激派と同様の方向性のテロ行為を、国内で独自活動として引き起こしている。
やはり移民に寛容だった国家が、移民の二世、三世になっても純粋なフランス人とは差別され、格差社会が深刻なになっているからだろう。カナダでも二〇〇六年に移民二世世代がイスラム過激思想に染まってテロ計画を企て逮捕されている。
テロの再発を防ぐために欧米では移民を拒絶し、ホームグロウン・テロリストの監視を強め、テロ行為に走れば容赦せずに射殺する極右思想が高まっている。だが、これが抜本的な対策になるとは思えない。むしろホームグロウン・テロリストは潜在化して深刻化するであろう。
といって格差社会を解消するには、国家が負担不可能な財政支出を伴う。いま深刻化しているヨーロッパの不況経済の状況下では実効不可能な夢の抜本対策といわねばならぬ。
誰もが”ため息”をつくテロ対策。その点では移民に依存せずに人口増で対処してきた日本は幸運だったといえる。しかし、これからの日本は人口減少社会に入る。一億三〇〇〇万人口が一億を切り、悲観論ではヨーロッパ並の七、八〇〇〇万人口になるから、移民に依存せねばならぬという論者も出ている。
戦時中ではないが「生めよ、増やせよ」の国家的なプロパガンガをいまさらやっても効果はない。少子高齢化社会の進行に歯止めをかけて、一億人口を護ることが唯一の対策なのであろう。財政負担を考えれば、これとて容易ではない。
アベノミクスに期待がかかるのは、日本の将来に不安を持つ層が増えている証左といえる。野党に期待がかからないのはアベノミクスを批判しても、それに代わる処方箋を出していないからである。
一月一〇日のブログでよく読まれたトップ・テンは次の通りだが、やはりフランスのテロリスト射殺事件が大きな関心を呼んでいる。
①韓国、財閥企業ついに破綻か 負債比率深刻 古澤襄
②中国に[NO]を突きつけたスリランカ大統領選挙 宮崎正弘
③書評「突き破る日本経済」 宮崎正弘
④特殊部隊突入、銃撃容疑兄弟は死亡…AFP通信 古澤襄
⑤外務省の海外安全ホームページ 古澤襄
⑥イエメンのアルカイダ、仏への新たな攻撃を警告 古澤襄
⑦砂漠の一神教・イスラム教 古澤襄
⑧仏紙銃撃事件の恐怖、アラブの風刺画家にも波及 古澤襄
⑨米国務省が国民に警戒呼びかけ 古澤襄
⑩EU、対ロ制裁「出口」見えず 古澤襄
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