【1月11日 ワシントンD.C./米国 AFP】仏パリ(Paris)にある風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の本社を襲撃したシェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者(32)とサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者(34)が兄弟だったという事実は、驚くに値することではない──専門家らはそう指摘する。
マサチューセッツ大学ローウェル校(University of Massachusetts Lowell)のジョン・ホーガン(John Horgan)教授(犯罪学)はAFPに対し、「テロリズムの歴史を振り返ると、兄弟姉妹が一緒に活動した例は数多くある」と語った。「その数は、一般に考えられているよりはるか多い」
2001年9月11日の米同時多発テロで航空機をハイジャックした実行犯19人の中にも3組の兄弟がいた。2012年3月にフランス南西部トゥールーズ(Toulouse)のユダヤ人学校でモハメド・メラ(Mohamed Merah)容疑者が7人を殺害した後には、その兄が共犯者として逮捕された。
2013年4月には米ボストン(Boston)で行われたボストン・マラソン(Boston Marathon)大会のゴール近くでジョハル・ツァルナエフ(Dzhokhar Tsarnaev)被告が兄と共に爆弾を爆発させた。
シャルリー・エブド本社を7日に襲撃した2人の容疑者も兄弟だった。シェリフ・クアシ容疑者と2歳年上の兄、サイド・クアシ容疑者は武装して同社を襲撃し、12人を殺害した後2日にわたって逃走。人質を取って立てこもり、警察に射殺された。
心理学者らによると、一般的には兄や姉が年下のきょうだいに影響を与えることが多い。しかし、クアシ兄弟の場合は、弟のシェリフ容疑者の方が強い過激思想を持っていたとみられている。いずれにせよ、兄弟姉妹は間違いなく互いに影響を与え合っている。
カナダ・トロント大学(University of Toronto)のジェニファー・ジェンキンズ(Jennifer Jenkins)教授(心理学)は、「疎外される、周囲に溶け込めないなど、兄弟姉妹は同じような経験をしていることが多い」と述べ、「それらの共通の経験について話し合ううちに、そういった出来事をどう受け止めるのかという面で兄弟姉妹は互いに影響を与え合う。そうすると、疎外されたという思いが強くなり、報復が必要だとの考えが強まっていくはずだ」と説明する。
一方、米ラファイエット・カレッジ(Lafayette College)で兄弟姉妹の関係について研究しているスーザン・アベレット(Susan Averett)教授(経済学)は、喫煙や飲酒などの不健康な習慣や社会規範から外れた行動など、きょうだいの間には「ロールモデル効果」があると話す。
マサチューセッツ大のホーガン教授によれば、「兄弟姉妹の間には他者との関係にはみられない特別な絆」があり、「土壇場で気を変える可能性が低く、約束や秘密が守られる」という。これが、ジハーディスト(イスラム聖戦士)組織が兄弟姉妹を勧誘することが多い理由の1つだ。さらに兄弟姉妹同士ならば頻繁に連絡を取り合っても怪しまれないため、情報機関から容疑者として特定されにくい。
さらに、兄弟姉妹の絆は非常に強い。ホーガン教授は、互いを裏切る危険性は非常に低く、「(きょうだいを)切り離すのは実質的に不可能だといえる」と指摘する。つまり、兄弟姉妹による攻撃の場合、流血の結末となる可能性がより高くなるということだ。(AFP)
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