18214 首相、ホロコースト博物館でスピーチ    古沢襄

■「歴史修正主義者」の払拭狙う

イスラエル訪問中の安倍晋三首相は19日午前(日本時間同日夕)、エルサレム市内のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)博物館を視察し、平和に向けたスピーチを行った。スピーチでは差別と戦争のない世界の実現に向け、積極的に貢献する決意を表明。戦後70年に絡み首相を「歴史修正主義者」とレッテル貼りする勢力の批判を払拭する狙いもありそうだ。

「ハショア・レオラム・ロー・オッド」

首相はスピーチでヘブライ語を使い「ホロコーストを二度と繰り返してはならぬ」と訴えた。第二次世界大戦中、ユダヤ人難民6千人に「命のビザ」を発給して救った日本人外交官・杉原千畝(ちうね)にも触れ、「彼らの勇気に私たちは倣いたい」と強調。スピーチ前には、犠牲者600人の写真が飾られた「名前のホール」など博物館内を約1時間半かけて視察した。

同博物館の視察とスピーチはエルサレムを訪問する各国首脳にとって「親イスラエルを示すための恒例行事」(同行筋)だが、首相にとっては歴史認識をめぐる誤解を解く絶好の機会でもある。これまでも、昨年3月のオランダ訪問の際に、「アンネの日記」の作者であるユダヤ人少女アンネ・フランクを記念する博物館に立ち寄り、平和への思いをアピールしている。

その背景には中韓両国だけでなく、欧米の一部メディアでも首相を「歴史修正主義者」と批判する見方が根強いことがある。今月には米議会調査局が、首相を「強烈なナショナリスト(国粋主義者)」と決めつける報告書を発表した。
 

首相は海外で平和への真摯(しんし)な姿勢を繰り返し示すことで、戦後70年の首相談話の発表に向けた地ならしを着々と進めているともいえそうだ。(エルサレム 産経・沢田大典)

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