18237 「イスラム帝国」を夢見る空気    古沢襄

一月二十三日のブログ・トップ5は「イスラム国」による日本人の人質事件一色となった。サウジ国王の死去も広い意味でイスラム教徒に影響を与えたとみている。

石原慎太郎氏が数世紀続いてきた白人の世界支配がようやく終わろうとしている今、新しい宗教戦争が始まろうとしているという認識は同感である。

私は大学の卒業論文にドイツの膠州湾租借を選んだ。発端はドイツ人の宣教師二人が中国山東省で殺される事件が起こり、上海にいたドイツ東洋艦隊が膠州湾に急行、ドイツ海兵隊が上陸して膠州湾を占領した。

山東省は宗教秘密結社・義和団発祥の地。そこにキリスト教宣教師が布教に行ったこと自体が帝国主義の先兵というのが、共産中国史書の解釈。

卒論を書くために資料集めをしたが、二人の宣教師はむしろ純粋な宗教心から清朝下にあって封建的な圧政に苦しむ民衆に西欧的な開明思想を伝えたい一心だった。

ところがドイツ外交文書・グローセポリテイークを読むと二人の宣教師の行動は逐一掌握されている。山東省の反西欧文明の民衆行動、反キリスト教の風潮も正確に掴んでいた。
 

山東省は白蓮教という宗教があったが、それが反西欧文明・反キリスト教という政治行動になって義和団が生まれ北京を占領した。

いうなら山東省で発生した宗教戦争が、後の北清事変となりイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、オーストリア、イタリア、ロシア、日本の八カ国連合軍の出兵を招き、義和団は鎮圧された。

石原慎太郎流の言葉を使えば、まさに白人の世界支配の全盛期に入る出来事が山東省における二人の宣教師の殺害事件だったといえる。西太后の清朝は倒れ列強の中国支配が始まる。

「イスラム国」を”国”というのは、おこがましい。だが専門家にいわせると「イスラム帝国」を夢見ているという。「イスラム国」の支持者が案外多いのは、白人の世界支配が終わろうとしている認識がイスラム世界に徐々に広まっているからではないか。

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