■イスラム国釈放要求の死刑囚-邦人人質
【アンマン時事】過激組織「イスラム国」がジャーナリストの後藤健二さん解放の条件に、ヨルダンで収監中のイラク人サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を求めている。イスラム国がこの女に焦点を当てたのは、ヨルダン人にとって「最悪の悪夢」である2005年の連続爆弾テロ事件の実行犯の唯一の生き残りだからとの見方が有力だ。
05年11月、ヨルダンの首都アンマンにある3カ所のホテルで起きた連続爆弾テロ事件は約60人が犠牲になり、1946年の独立以来最悪の事件の一つとなった。リシャウィ死刑囚は自爆を果たせず治安当局に身柄を拘束され、死刑判決を受けた。他の実行犯は、夫を含めて自爆死した。
このテロは、それまで中東で最も治安が良い国として知られていたヨルダンを震撼(しんかん)させ、今なお国民の大きな「心の傷」となっている。イスラム国は、凶悪テロの記憶を呼び覚まし、ヨルダン国民に与える心理的なインパクトを考慮し、あえてリシャウィ死刑囚の釈放を要求した形だ。
イスラム国は後藤さんの解放条件に掲げる以前から、リシャウィ死刑囚とヨルダン軍パイロットのムアス・カサスベ氏との「捕虜交換」を主張するなどしてヨルダン政府への揺さぶりを続けていた。
外交情勢に詳しいヨルダン議会筋は、イスラム国がリシャウィ死刑囚を後藤さん解放の条件に絡めてきたことについて「ヨルダンと日本の関係を複雑化させたかったのだろう」とみている。
また、イスラム国は、前身組織「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いた故ザルカウィ容疑者の側近でイラク人テロリストのジヤド・カルブリ死刑囚の釈放も要求しているもようで、交渉は「2対2」交換の構図となっている。ヨルダン議会筋は交渉成立の可能性は「五分五分」だと語った。(時事)
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