■政府方針変わらず
期限は72時間とか24時間とネット上に公開された過激派組織の一方的な情報で日本政府もヨルダン政府も振り回されている。ネットをフルに利用した新しい犯罪の手口だ。
「イスラム国」の危険ゾーンに入る時に後藤健二さんは”自己責任”を強く訴えていたから、いまネットで「私が自由になれないのは、ヨルダン政府がサジダの引き渡しを遅らせているためだ」とヨルダン政府を非難したのは、過激派組織の構成員に言わされていると分かる。
ヨルダン政府は苦境に立たされている。本来なら収監してるサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放して自国のヨルダン人パイロットと後藤さんの救出につなげたいところだと思うが、それに「待った!」をかけたのは米国ではないか。
米国はテロリストとは交渉しないという立場を貫いている。今月初めに米特殊部隊がラッカに向かい、ヨルダン・パイロットの救出作戦を行ったが失敗している。再度の救出作戦を狙っているのは疑う余地はない。
ヨルダンも米国の軍事支援に依存しているから、米国を無視した救出交渉は取りにくい。ヨルダン、米国、日本の思惑に生じている間隙を「イスラム国」は巧みに突いてきている。分断作戦というべきであろう。
■[東京 28日 ロイター]過激派組織「イスラム国」とみられるグループに拘束された後藤健二さんを名乗る男性の画像が27日夜、新たにインターネット上に公開された。男性は、ヨルダンに収監中のイラク人死刑囚と自らの交換を呼びかけた上で、期限は24時間と語った。
日本政府は、ヨルダン政府に協力を要請していくこれまでの方針を継続することを明らかにした。
<引き続きヨルダンに協力要請>
画像が公開されたのは27日午後11時過ぎ。日本政府は官邸に菅義偉官房長官と3人の官房副長官、国家安全保障局長、内閣危機管理官、内閣情報官などが集まり対応を協議した。
28日未明に記者団の取材に応じた菅官房長官は、「政府としてはきわめて厳しい状況の中で後藤さんの早期解放に向けてヨルダン政府に今日まで協力要請しており、今後もその方針に変わりないことを確認し、総理に報告した」と語った。
安倍晋三首相は、ヨルダンに設置した現地対策本部に同方針を伝達するよう指示したという。
<「ボールはヨルダン側に」>
画像の男性は後藤さんを名乗り、オレンジ色の服を着用。イスラム国に拘束中のヨルダン人パイロットとみられる写真を持っている。
男性は「これが私の最後のメッセージだと言われている」とした上で、「私が自由になれないのは、ヨルダン政府がサジダの引き渡しを遅らせているためだ」と語り、2005年に爆破事件を起こしてヨルダンに収監中のイラク人女性、サジダ・リシャウィ死刑囚と自らの交換を呼びかけている。
男性は「私には24時間しか残されていない」とする一方、ヨルダン人パイロットに残された時間はさらに短いと語っている。さらに「ボールはヨルダン側にある」と述べている。
共同通信は、「確認しているが後藤さん本人に大筋間違いない」という日本の政府関係者の話を伝えている。
後藤さんの母親の石堂順子さんは報道陣に対し、「国としては、やはりできるかぎりのことはするべきだと思う」と話した。(ロイター)
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