18291 長引く人質交渉に深まる謎    古沢襄

■「別交渉も」専門家指摘

後藤健二さんの人質事件でヨルダン、トルコ、「イスラム国」の情報に注意が集まっているが、英国のロンドン情報も無視できない。対照的にフランスのAFP情報はウエートが低い。

その意味でロイター情報も注意してウオッチしておく必要がある。産経が英BBC放送によれば、イスラム国にとり「使い捨て」の自爆テロ要員だったリシャウィ死刑囚に実質的価値はなく、ヨルダンでは他に、はるかに重要な受刑者が拘束下にあるという・・と報じてきている。

もうひとつ。「イスラム国」の軍事部門は米国の空爆やイラクの反転攻勢で、対応策に追われている。軍事部門が主導権を持っていれば、人質の殺害に踏み切ったであろう。

いまはむしろ諜報部門が人質事件の主導権を持っているとみるべきではないか。それが長引く人質交渉の原因とみている。トルコの諜報機関との交渉が注目される。

■【アンマン=岩田智雄】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件で、ヨルダン政府とイスラム国との人質解放交渉が難航しているとみられる中、専門家の間では、表に出ていない別の人質の解放に向けた交渉が並行して進められているとの観測も出ている。

ヨルダン政府は、後藤健二さん(47)よりもイスラム国に拘束された軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉(26)の解放を優先事項とする立場を維持し、中尉の生存の証拠がなければ、イスラム国が要求するサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放には応じられないと繰り返し強調している。

英BBC放送によれば、イスラム国にとり「使い捨て」の自爆テロ要員だったリシャウィ死刑囚に実質的価値はなく、ヨルダンでは他に、はるかに重要な受刑者が拘束下にあるという。

イスラム過激派の事情に詳しいヨルダンのマルワン・シェハーダ氏は、「後藤さんとリシャウィ死刑囚の交換とは別に、カサスベ中尉は、ヨルダンにいる55人のイスラム国関連の受刑者の釈放に使われる、と聞いている」と話す。

ヨルダンのシンクタンク、ライ研究所のハーリド・ショークラン所長も「政府は後藤さんとカサスベ中尉を解放させるため、さらに多くの受刑者を釈放する並行協議をしたいとの意向を示している」と述べた。

解放交渉はメディアの注目を集め、イスラム国に政治宣伝の機会を与えている。カサスベ中尉の解放を求める世論が高まる中、イスラム国は中尉の人質としての“価値”を高く評価しているようだ。「ヨルダン側はイスラム国の手の内を知り尽くしている」(ショークラン氏)とされ、ヨルダン政府が安易に妥協しない理由になっている可能性がある。(産経)

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