■次はスペインか
[ロンドン 1日 ロイター]ギリシャでは総選挙の結果、急進左派連合(SYRIZA)と右派「独立ギリシャ人」が手を組むという、これまでの常識では考えにくい形の連立政権が発足した。今年は欧州連合(EU)8カ国が総選挙を予定するが、長く続いた中道政権の支配はついに終焉を迎えるかもしれない。
欧州の多くの国では5年に及ぶ経済の低迷、実質賃金の減少、社会福祉の削減に有権者はうんざりしており、その怒りや不安を投票所でぶつけることになるだろう。欧州政界では2015年、ギリシャを震源に、想定外の地殻変動が起こる可能性がある。
欧州では第2次世界大戦後、中道右派と中道左派が政治を牛耳ってきた。ところが近年には、有権者の支持は中道政党から離れつつあり、代わって左派や右派のほか、コメディアン出身のベッペ・グリッロ氏(イタリア)のようないわば「異端の政治家」が人気を集めている。
多くの国の有権者は、既成政党の問題解決能力を疑問視。一般市民の懸念を理解せず、自らの利益ばかりを優先させる、と失望している。
一方、新興勢力の多くを結びつけているのは反EU、反緊縮だ。
マクシェーン英元欧州担当相はインタビューで「ロナルド・レーガンやマーガレット・サッチャーから始まった、リベラル個人主義や富の蓄積という30年サイクルは終わりに来た」と指摘。「今後少なくとも5年は、欧州は混乱し、不透明感が強まるだろう」との見方を示した。
今回のギリシャ総選挙のように、欧州の他の国でも反体制派が政権をとるケースが増えるのかどうかはまだ分からない。ただ、反体制派が政権入りすれば、安定感が低下するのは避けられない。
米シティで世界の政局を専門とするチーフアナリスト、ティナ・フォーダム氏は「振り返ってみると、2011年以降の欧州政府は悪くはなかった」と話す。「今後は、実力のほどが不明で、予想のつかない新興勢力から成る、より弱い政権が多くなると予想される」と述べた。
<次はスペインか>
ギリシャと同様に高失業率に悩むスペインにも、波乱の兆しが見られる。極左政党「ポデモス」が台頭し、ラホイ首相が率いる国民党(PP)や野党の社会労働党(PSOE)を支持率でリードしているのだ。
ポデモスの36歳のイグレシア党首は、ギリシャ新首相となった急進左派連合を率いる40歳のチプラス氏と親しいとされる。ギリシャが債務削減や緊縮緩和に成功すれば、ポデモスも勢いづく可能性がある。
ただ、支援策をめぐるギリシャとEUの交渉が長引き、金融市場が一段と不安定になれば、スペインの有権者もポデモスに票を投じるのをためらうかもしれない。スペインでは12月に総選挙が予定される。(ロイター)
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