18340 対比賠償五億五千万ドルと難民支援の二億ドル    古沢襄

国会論戦を聞いていると、野党は救いがたい能力低下に見舞われている。戦後70年で一番野党がお粗末な状態にある。思考停止といっていい。

そのことはさて置き、中東の難民支援のため日本は二億ドルを出す。これは国民の税金でまかなわれる。

岸内閣当時、日本はフィリピン賠償で五億五千万ドルを支払った。賠償支払いは昭和31年から二〇年間。

第二次世界大戦で日米両軍が激突したフィリピンだから、日本が対比賠償の責務を負うのは当然のことだが、昭和31年というのは敗戦後まだ11年しか経っていない。多額の賠償を支払うのに国民は歯をくしばって耐えた記憶が残る。

ひとつだけ疑問があった。五億五千万ドルがドル支払いにせよ、円支払いにせよ、国民の税金なのだから、支払った賠償が日本に環流してくる仕組みがないものだろうか、ということである。

早い話がフィリピンが五億五千万ドルで韓国からものを買い付けたら、韓国経済に貢献するだろうが、日本はカネを支払っただけになる。賠償とはそういうものだと言ってしまえば、それまでだが知恵がなさ過ぎると岸さんに疑問をぶつけた。

岸さんは黙って聞いていた。

その後、佐藤内閣になって外務省担当になった時に椎名外相に同じ質問をしたことがある。私の疑問は杞憂であった。

対比賠償は、総額五億五千万ドルに等しい円の価値を有する日本の生産物や日本人の役務で供与されることとなっていた。

これはこれで別の問題が発生している。日本の生産物なのだから賠償に群がる企業が政治家と癒着する構造が生まれた。それでも韓国に企業利益を持っていかれるよりは良いという考え方もあろうが、野党の社会党が問題視している。

そこで中東の難民支援の二億ドルなのだが、やはりカネを出せばいいということにはならない。難民たちは済む天幕すら十分でない。ここは日本の企業が天幕を作って現物供与する仕組みが必要ではないか。

天幕を受注する企業が群がり政治家との癒着の構造が生まれ安いが、そこは安部首相のリーダーシップで厳しく監視すればいい。そうでなければ、せっかくの人道支援が汚される。戦後賠償の経験を知る野党議員はいないから、こういう質問が出てこない。やはり不勉強の野党と言わざるを得ない。

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