18396 書評『日本興国への道』    宮崎正広

■アベノミクスへの期待と警告「米国が日本を見捨てる日がくるかも知れない」 歴史に学び、時流を読み、未来をひらく

<渡部昇一『日本興国への道』(到知出版社)>

副題には「歴史に学び、時流を読み、未来をひらく」と謳われ、従軍慰安婦問題で国を貶めた朝日新聞批判から本書は開始される。

「この国に生まれてよかったと思える日本を取りもどしたい」という思いに本書は一貫している。

朝日新聞などが反対した原発も、特定秘密保護法も、日本が真の独立を果たすには必要であり、こうした基本のことを平明な文章で淡々と説かれる。

通読して、評者(宮崎正広)が「おやっ」と思った箇所が二、三カ所ある。

まず渡部先生は北朝鮮の崩壊が間近に迫っていることを予測されている。理由は習近平が瀋陽軍管区を抑えたこと。

「北朝鮮が自壊するのは時間の問題です。それほどまでに事態は緊迫してきました。金政権が崩壊すれば韓国には百万人単位の難民が流れ込むことになります。(中略)韓国は国中が想像を絶するほどの大混乱に陥ることは間違いありません。

北朝鮮は言わずと知れたテロ国家です。その国民が地続きの韓国になだれ込むわけです。至る所で殺人やテロが頻発し、その被害は韓国人だけでなく在韓米軍の兵士たちにも及ぶ」

だから韓国は日本叩きなどに狂奔しているわけにはいかなくなったのだ、という。論理的で説得力のあるロジックである。

また日英同盟は、露西亜の南下を食い止めさせるために日本を梃子に利用したのが英国であり、この背景を英国の史家らがまじめに論じないという奇妙な現実を指摘される。

そして、本署の白眉と思われるのは、米国がいずれ日本を見捨てるというシナリオである。

かつて米国は蒋介石を利用し、日本と闘わせつつ、日本が敗戦にいたるや、突如支援を打ち切って蒋介石を見捨てた。ついで南ベトナムも捨てた。

「日米同盟の強化には力をつくさなければなりませんが、同時に、状況によってはアメリカが日本を見捨てることがあるという発想を忘れてはならない」のであり、そのために日本が何をなすべきかは自ずから判然となることである。

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