18410 中国軍の将来の戦争勝利に「深刻な弱点」    古沢襄

■米議会諮問機関

香港(CNN) 米連邦議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は15日までに、中国の人民解放軍の軍事力に関する報告書を発表し、将来的な戦争の遂行や勝利に必要な能力を妨げる「深刻な弱点」を抱えていると指摘した。

報告書の作成には米シンクタンク「ランド研究所」も参加。中国軍は短期間で急速な増強を示したものの、汚職問題を含む組織構造や戦闘能力の面などでの脆弱(ぜいじゃく)性を克服すべき重大な課題に直面していると分析。

これらの弱点は、中国の軍事参謀たちが将来の戦争で勝利を目指す上で必要と判断している、情報を一元化させて作戦の統合運用を成功裏に図る能力育成の障害になる可能性があるとしている。

同報告書によると、戦闘能力での欠点には後方支援態勢の不備があると指摘。台湾侵攻を想定した場合、大規模な部隊や装備品などを水陸両面で輸送する能力は不十分とした。

また、対潜水艦作戦にも十分に習熟していないと主張。中国軍は現在、複雑な近代兵器を既存の装備品に融合させる上で問題を抱えているとし、これら兵器の操作要員の欠如にも直面しているとした。

空軍では特別作戦に対応し得る航空機や過去に開発された航空機も組み合わせる編隊の数も不足していると述べた。

230万人の人員を持つ人民解放軍は汚職のまん延という早急に取り組むべき課題も持つとし、外部監察の発想がないことが主因と強調。同軍の指揮系統で唯一の文民は習近平(シーチンピン)国家主席であることに注意を向けた。

同軍では最近、高官絡みの汚職摘発が表面化した。昇進や肩書も買収で可能との見方も広まっている。下級兵士の間では、将校が軍配給の住宅を売りさばき、速度制限、高速道路料金の支払いや駐車規制から逃げるため軍の車両プレートを悪用しているとの情報が流れていると指摘。

薄給や実戦を考慮に入れた演習の不在、新兵勧誘での稚拙な手段などの問題も存在している。新兵の多くは限られた学歴しかなく、大半が農村部で補充されているともした。

中国政府が導入している「一人っ子政策」は態度が尊大な子どもの出現につながり、軍事規律の順守に耐えられない新兵が生まれる結果になったとも分析した。

同報告書は中国軍は直面するこれらの弱点を自覚しているとも説明。軍事文献の分析や中国の消息筋の情報で、人民解放軍と先進国の軍、特に米軍との間には能力面などで依然大きな差があることの認識はみられるともした。

その上で、米国の国防政策当局者らは中国の軍事的な変革が不十分な状況にあることを理解する必要があると強調。この情勢認識を持てば、米国や同盟国は中国と隣国がもめた場合、中国に武力手段の発動や実力行使の威嚇を止めさせる効果的な道を見い出し得るとも結論付けた。

CNNは中国国防省に対し、米中経済安全保障調査委員会の報告書へのコメントを求めたが反応はない。(CNN)

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