アメリカで、日本を含む60か国以上の閣僚級が出席してテロ対策を協議する国際会議が開かれていて、オバマ大統領は、過激派組織IS=イスラミックステートなどの過激な思想に対抗するため、各国が結束して対策を強化するよう呼びかけました。
ワシントンで開かれているテロ対策を協議する国際会議には、国連やEU=ヨーロッパ連合の代表のほか、日本やフランスを含む60か国以上の閣僚級が出席しました。
この中で、オバマ大統領は「われわれはテロ組織に対する闘いで揺らいではいけない。この危機から抜け出すため助け合わなければならない」と述べ、ISの壊滅に向けて各国に結束を呼びかけました。
そのうえで、若者らが過激な思想に染まらないように、各国が啓発活動や貧困対策、それに教育支援などを強化すべきだと訴えました。
また、中山外務副大臣は、ISによる日本人殺害事件について、「非道・卑劣極まりないテロ行為は言語道断の暴挙で、強く非難する。テロと闘う国際社会で日本としての責任をきぜんと果たしていきたい」と述べました。
そして、中東アフリカ地域のテロ対処能力を向上させるため、およそ1550万ドルの支援を行うことや、ASEAN=東南アジア諸国連合の過激派対策に資金協力を行うことなどを表明しました。
会議では、ISなどに戦闘員として加わるため、シリアに渡った外国人が2万人を超すとみられることを踏まえ、若者らが過激な思想に染まり、テロを計画するのを食い止めるための対策などを盛り込んだ共同声明を発表する予定です。
■過激な思想の拡大防ぐ必要性強調
国際会議では、国内でテロ事件が起きたデンマークやフランスのほか、過激派組織IS=イスラミックステートにパイロットを殺害されたヨルダンの閣僚が、過激な思想の拡大を防ぐ必要性を強調しました。
このうち、デンマークのリデゴー外相は「テロ事件のあとのデンマークに対する世界中からの支援に深く感謝したい」と述べました。
そして、「人々が過激な思想に染まるのを防ぐとともに、過激な思想に染まりつつある人たちを正しい方向に戻す方策に焦点を当てなくてはならない」と述べて、国際社会で対策を加速させる必要があるとの考えを示しました。
また、ヨルダンのジュデ外相は「過激派組織と過激な思想との闘いは戦争だ。過激な思想を正当化する者はすべてわれわれの敵だ」と述べたうえで、失業や貧困などの問題を抱える若者が過激派組織に勧誘されやすい実態があるとして、こうした問題を解決する取り組みを強化すべきだと訴えました。
さらに、フランスのカズヌーブ内相は、過激派組織によるソーシャルメディアを使った若者の勧誘を阻止するため、IT企業が多く集まるアメリカ・カリフォルニア州を訪れて、対策への協力を求める考えを示しました。
■「世界が連携していく心構えを」
会議に出席した中山外務副大臣は記者団に対して、「日本としての責任をきぜんと果たしていくこと、また、国際テロ対策のための支援を行っていくことを強くアピールした。今回の会議を通じてテロがない世の中を作るため、世界が連帯、連携していく心構えが育まれることを、せつに希望する」と述べました。
また、中山副大臣は、会議の合間にアメリカ政府で東アジア政策を担当するラッセル国務次官補と会談し、ことし春の大型連休中で調整している安倍総理大臣のアメリカ訪問や日本の安全保障法制の整備などを巡って意見を交わしたことを明らかにしました。(NHK)
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