西川農林水産大臣は、23日、安倍総理大臣と総理大臣官邸で会談し、みずからの政党支部が国の補助金を受けた企業などから献金を受けていた問題などで、これ以上、国会審議に影響が出ることは避けたいなどとして辞表を提出し、受理されました。
安倍総理大臣は、辞表を提出した西川農林水産大臣の後任に林芳正前農林水産大臣を充てる方針を固めました。
西川農林水産大臣の政党支部を巡っては、国の補助金を受けた栃木県内の木材加工会社から300万円の献金を受け取っていたほか、国の補助金を受けた砂糖の業界団体の代表が社長を務める会社からも100万円の献金を受けていたことが分かりました。
西川大臣は、これまでの国会審議などで、「違法性はないと判断している」としたうえで、「農林水産大臣という職責に鑑みて、疑問を持たれないようにいずれも返金した」と説明してきました。
しかし、野党側が「資質に問題がある」として追及を強めていたことなどから、西川大臣は、これ以上、国会審議に影響が出ることは避けたいなどとして、閣僚を辞任する意向を固め、23日午後5時すぎ、総理大臣官邸で安倍総理大臣と会談して辞表を提出し、受理されました。
会談のあと、西川大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、「私がいくら説明しても分からない人は分からないということで、農林水産大臣の辞表を出してきた。安倍総理大臣からは『農業関係の仕事を大変よくやってくれた。引き続きできればやってほしい』ということだったが、私はもう自分で決めたので、政府から外れるということを申し上げてきた。安倍総理大臣も了承してくれた」と述べました。
そのうえで、西川大臣は「全部説明できたし、法律に触れることはないということは安倍総理大臣も分かってくれた。これから農政改革をやるときに内閣に迷惑を掛けてはいけないということでみずから辞表を出した」と述べました。
安倍総理大臣は、国会審議などへの影響を最小限に抑えるため、速やかに後任人事の調整を進めることにしていて、林芳正前農林水産大臣を充てる方針を固めました。
■献金問題の経緯
西川農林水産大臣は、去年9月に発足した第2次安倍改造内閣で初入閣を果たしました。
就任後の記者会見では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の早期妥結や、農協改革の実行に強い意欲を示しました。
しかし、去年10月、西川大臣はみずからの政党支部が大臣の親族が経営する企業に事務用品代などの名目で支出していたことが明らかになりました。
このときは、「通常の商取引で、批判を受ける話ではない」として、違法性はなく、法律にのっとって適正に処理しているいう認識を示しました。
その後、第3次安倍内閣で農林水産大臣に再任されますが、今月、政府・与党による農協改革の関連法案の骨格がまとまった直後、再び政治と金を巡る問題で追及を受ける事態になります。
今月13日には、みずからの政党支部が国の補助金を支給された栃木県の木材加工会社から300万円の献金を受けていたことが明らかになりました。
政治資金規正法では、会社などは国の補助金の支給の決定から1年間、政治献金をすることは原則として禁じられています。
これについて、西川大臣は「違法性は認識をしておらず、知らないままで政治献金を受けた」として、献金を返金しました。
これに加えて、17日には、別の補助金を支給された砂糖の業界団体の代表が社長を務める会社から100万円の献金を受けていたことが分かり、「疑問を持たれないため」として、この献金も返金しました。
これらの問題について、今月19日に開かれた衆議院の予算委員会で、野党側から事実関係の説明を求められました。
この中で、西川大臣はみずからに違法性はないと重ねて強調したうえで、「農林水産大臣という立場から道義的なことを考えて返金した」と述べていました。
しかし、農協改革の関連法案の策定作業が進むなかで、西川大臣は第3次安倍内閣で再任されてから僅か2か月で閣僚を辞任することになりました。(NHK)
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