イギリス王室のウィリアム王子が26日から日本を初めて訪問し、来月1日までの滞在期間中、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの競技会場の予定地について説明を受けるほか、東日本大震災からまもなく4年となる福島県や宮城県を訪れることにしています。
ウィリアム王子は、26日から来月1日までの日程で日本を初めて訪れます。第2子の出産を控えている妻のキャサリンさんは同行しないということです。
イギリス王室などによりますと、ウィリアム王子は、東京で、東京都の舛添知事から2020年の東京オリンピックの競技会場の予定地について説明を受けるほか、六本木ヒルズで始まるイギリスの最新の技術などを紹介するイベントに出席します。また、NHKも訪れて、大河ドラマの撮影スタジオやニュースセンターを見学する予定です。
一方、東日本大震災からまもなく4年となるのを前に被災地を訪問し、福島県では、屋外で遊ぶ機会の減った子どもたちの支援に取り組む現場を訪れるほか、地元の旅館で日本料理を楽しむことにしています。
また、宮城県では、石巻市や女川町を訪問し、津波の被害を受けた地域を見下ろす日和山公園で犠牲者を慰霊し、復興に取り組む地元の人たちとも交流するということです。
ウィリアム王子は日本のあと、中国を訪れる予定です。
■国民から幅広い人気
ウィリアム王子は、チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃の長男として、1982年6月21日にロンドンのセントメアリー病院で生まれました。
エリザベス女王の孫に当たり、王位継承順位はチャールズ皇太子に次いで2位となっていて、2歳下には弟のハリー王子がいます。18年前に交通事故で亡くなったダイアナさんの面影を残すウィリアム王子は、誠実な人柄でも知られ、国民から幅広い人気を集めています。
イギリスの名門、イートン校を卒業したウィリアム王子はスコットランドにあるセントアンドリュース大学に入学。友人と共同生活を送るなど、一般の学生たちと変わらない大学時代を過ごしたとされ、このときに妻のキャサリンさんと知り合いました。
卒業後は、王立の陸軍士官学校や、海軍兵学校、それに空軍兵学校でそれぞれ訓練を受け、その後は空軍で救難パイロットを務めました。
そして、2011年4月にキャサリンさんと結婚。将来、国王となる王室の男性が一般家庭の女性と結婚するのは、およそ350年ぶりのことで、挙式の模様は世界中で中継され、およそ20億人がその様子を見守ったと言われています。
おととし7月には、長男のジョージ王子が生まれ、ロイヤルベビーの誕生に国じゅうが沸いたほか、ことし4月には第2子が誕生する予定で、早くも祝福ムードが高まっています。また、ウィリアム王子は、慈善活動に熱心なことでも知られていて、絶滅のおそれのある動物の保護に力を入れているほか、子どもの教育支援や若者の就業支援などにも取り組んでいます。
さらに、2011年には、ニュージーランド南部で起きた地震の被災地を訪れ、去年は、イギリスで記録的な大雨によって洪水が発生した現場をハリー王子と訪問し、救援活動を行うなど被災者への支援も積極的に行っています。
ウィリアム王子は今回の日本訪問で東日本大震災の被災地を訪れる予定です。
■英王室の将来担う新世代
ウィリアム王子と妻のキャサリンさん、それにウイリアム王子の弟のハリー王子は、イギリス王室の将来を担う新世代として、国民から期待を集めています。
イギリス王室は、国民の高い人気を得ていたダイアナ元皇太子妃が、1996年にチャールズ皇太子と離婚し、その翌年に交通事故で亡くなるという悲劇を経験しました。
このとき、最愛の母親を失い、ひつぎに寄り添って悲しみに打ちひしがれるウィリアム王子とハリー王子の姿は、国民の目に焼きついていて、国全体が2人の成長を見守ってきました。
また、ダイアナさんがウィリアム王子とハリー王子を、一般家庭の子どもと同じように育てたいと考え教育を行ったことから、2人は特別扱いされることを嫌い、慈善活動などを通じて、多くの市民と交流するなど、気さくな人柄が人気を集めています。
キャサリンさんは一般家庭出身ということもあり、国民から親しみを持って受け止められているほか、ファッションリーダーだったダイアナさんと同じように、その服装や行動が頻繁にメディアに取り上げられるなど高い注目を集めています。
とりわけ、ウィリアム王子夫妻は、第一子のジョージ王子が誕生すると、キャサリンさんの実家で両親に育児を手伝ってもらうなど、乳母が子育てを担う王室の伝統にはとらわれないスタイルを実践しており、王室離れが進んでいるとされる若い世代の間でも支持が広がっています。
イギリス国民の王室に対する支持率は、ダイアナさんが亡くなったあとに比べて大きく上昇していて、ウィリアム王子ら新しい世代がより身近で、開かれた王室のイメージを国民に浸透させています。
■英王室の過去の来日
イギリス王室では、1970年にチャールズ皇太子が大阪万博を訪問。その5年後、エリザベス女王が夫のフィリップ殿下と共に来日しました。
このとき、東京では、沿道に集まった大勢の人が見守るなか、2キロにわたってオープンカーでパレードを行いました。
迎賓館を訪れて畳の上を歩いた際、女王が公式の場で靴を脱いだのは初めてだとイギリスのメディアが伝えました。このあと、京都を巡ったエリザベス女王は、京都御所や龍安寺を訪れたほか、三重県では伊勢神宮などを訪問しました。
1986年には、チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃が来日。京都訪問や歌舞伎鑑賞などを行いましたが、何よりも日本の人々の目を引いたのは、ダイアナさんの華麗なファッションでした。
東京で行われたパレードには、皇太子夫妻を一目見ようと10万人近くが詰めかけたとされ、ダイアナさんをまねた髪型が若い女性の間で流行するなど、日本で「ダイアナフィーバー」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。
その後、チャールズ皇太子は1990年に天皇陛下の即位の礼に出席するためダイアナさんと共に来日したほか、2008年にも再婚相手のカミラ夫人と共に日本を訪れて環境問題に関するスピーチなどを行いました。(NHK)
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