18512 政権批判で陰謀・暗殺説も ロシア    古沢襄

■プーチン氏批判の急先鋒ネムツォフ氏、モスクワで射殺
 
モスクワ(CNN) 27日に殺害されたロシアの野党指導者ボリス・ネムツォフ元副首相の追悼集会が1日にモスクワで開かれ、集まった数千人が同氏をしのんだ。

この日は本来、ネムツォフ氏の主導でロシアの対ウクライナ政策を批判する集会が開かれるはずだった。

同氏が率いていた野党、国民自由党の幹部によれば、ロシア当局は当初、1日の集会を野党集会とみなして許可しない方針だったが、追悼集会としての開催を認めたという。

ネムツォフ氏はプーチン大統領を声高に批判していた人物で、大統領府の近くを連れのウクライナ人モデルと歩いているところを何者かに銃撃され、殺害された。

同氏の死を巡ってはさまざまな陰謀説が飛び交っている。

ウクライナ国営通信によると、ポロシェンコ大統領は2月28日、「ボリス(ネムツォフ氏)はウクライナにおけるロシア軍の関与を裏付ける強力な証拠を公表しようとしていた。

それを非常に恐れる者がいた」と語り、ネムツォフ氏がロシアの国益に反する情報を暴露しようとしていたとの見方を示した。

ロシア連邦捜査委員会によると、犯行に使われたのはロシアで製造されたマカロフのピストルと見られ、現場からは9ミリの薬きょうが見つかった。

警察は短い髪をした身長170~175センチくらいの男の行方を追っている。男は青いジーンズに茶色いセーター姿だったという。

犯行の動機については「政情の不安定化に対する挑発」の可能性を挙げているほか、パリで風刺週刊紙シャルリー・エブドが襲撃された事件との関連や、ネムツォフ氏の事業との関連についても調べているという。

報道によれば、捜査委員会は300万ルーブル(約590万円)の賞金をかけて事件に関連する情報の提供を募っている。

ロシア大統領府はネムツォフ氏殺害を非難する声明を出し、3つの捜査機関に捜査を指示したと発表。ネムツォフ氏の母にも哀悼の意を伝え、犯人には裁きを受けさせると約束したとしている。

一方、ネムツォフ氏の周辺からは、プーチン政権やプーチン大統領支持者の関与を疑う声も出ている。

これまでにもプーチン大統領を批判した人物は過酷な運命をたどってきた。

2006年には激しいプーチン政権批判を展開していたロシア人ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤ氏が殺害され、昨年、モスクワの裁判所が男5人に禁錮刑を言い渡した。

プーチン大統領の汚職を批判した実業家のミハイル・ホドルコフスキー氏は10年の禁錮と強制労働を言い渡された。

ロシアのスパイだったアレクサンドル・リトビネンコ氏は国家治安当局がプーチン氏に実権を握らせるためのクーデターを組織していたと非難。2006年に英ロンドンで放射性ポロニウムを使って毒殺された。犯人はつかまっていない。

ネムツォフ氏も生前、プーチン政権を非難したとして何度か逮捕されていた。殺害現場には「勇気と誠実さをありがとう」などと書かれた追悼の手紙が多数置かれている。(CNN)

<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>

コメント

タイトルとURLをコピーしました