18707 両陛下、風邪を召されても積極的に公務    古沢襄

■心配するポルトガル首相に陛下「もう大丈夫です」

 
戦没者慰霊でのパラオ共和国訪問を4月上旬に控えた天皇、皇后両陛下はこの1週間、ともに風邪の症状を抱えながらも、多くの公務を積極的に果たされた。

天皇陛下は21日朝から発熱などの症状がみられ、春季皇霊祭・神殿祭の儀での拝礼を控えられた。宮中祭祀(さいし)をつかさどる掌典長(しょうてんちょう)が代拝した。

22日には、両陛下はパラオの激戦地ペリリュー島から生還した元日本兵2人を皇居・御所に招いて懇談された。

風邪の症状が続く天皇陛下は途中で退出したが、終戦後も徹底抗戦の命令を守り、潜伏を続けた2人を「本当に長いことご苦労さまでした」とねぎらわれた。その後、皇后さまが帰国後の生活などについても話を聞き、慰められた。陛下は陪席した川島裕侍従長から説明を受けられたという。

両陛下は23日、初来日したインドネシアのジョコ大統領夫妻と皇居・宮殿で会見し、昼食会を催された。

その後、陛下は大事を取って御所で静養されたが、皇后さまは昼食会に陪席された皇太子さま、秋篠宮ご夫妻とともに皇居・東御苑の二の丸池に大統領夫妻を案内された。

池には、陛下がインドネシアのヒレナガゴイと日本のニシキゴイとの交配を提案されたことで生まれたヒレナガニシキゴイが放されており、皇后さまが手拍子で呼び寄せ、エサをまかれると、大統領夫妻は笑顔を見せた。

皇后さまが肌寒い日本の気候を気遣い、ご自身のショールを大統領夫人の肩に掛けられる場面もあった。皇后さまもすでに風邪の症状が出ていたが、「陛下が大統領夫妻の案内を楽しみにされていたので、お気持ちをくみ取って臨まれた」(側近)という。

皇后さまは26日朝に熱が高くなったため、同日に皇居内の清掃などを行う勤労奉仕団と面会するのを控えられ、陛下がお一人で会われた。

両陛下は24~26日に予定していた御料牧場(栃木県)での静養を取りやめて御所で過ごされたが、陛下はこの間も御所で国事行為を果たされた。

陛下は27日、ポルトガルのコエリョ首相と宮殿で面会し、首相から風邪について尋ねられ、「もう大丈夫です」と答えられた。

側近によると、風邪の症状は残っているものの、回復に向かわれているという。会見に引き続き、熱がやや下がってこられた皇后さまとともに、勤労奉仕団をねぎらわれるなどした。

両陛下は今月、東日本大震災の復興状況視察などで宮城県を訪問したのをはじめ、忙しい日程を続けられていた。宮内庁の風岡典之長官は26日の定例会見で「ご無理をおかけしたのではないかと申し訳なく思っている」と話した。

陛下は24日、シンガポールの初代首相、リー・クアンユー氏が23日に死去したのに伴い、同国のタン大統領とリー氏の長男であるリー・シェンロン首相に弔電を送られた。陛下は皇太子時代を含めリー氏と11回面会するなど親交があり、26日には現地に花輪を届けられたという。

皇太子ご夫妻は、春休みに入った長女の敬宮(としのみや)愛子さまとともに、23~27日に長野県内のホテルで静養された。小町恭士東宮大夫によると、ご一家で連日スキーを楽しむなどして過ごされたという。

秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さまは23日、東京都千代田区の映画館で、ケニアで国際医療活動にあたった日本人医師をモデルにした映画「風に立つライオン」を鑑賞された。上映後には原作者のさだまさしさん、主演の大沢たかおさんらとご懇談。紀子さまは「若い世代に作品の思いが届くように祈っています」と話され、佳子さまも深くうなずかれていたという。(産経)

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