18727 イエメンに軍事介入したサウジ    古沢襄

■存在感増す「シーア派大国イラン」に危機感、神経戦を展開

【カイロ=大内清】イエメンへ軍事介入したサウジアラビアと、対立するイランとが神経戦を繰り広げている。

双方とも現時点では、互いがどこまでイエメン問題に関与するつもりかを瀬踏みしている状況だ。

ただサウジは、イエメンのみならずイラクやシリア情勢でも存在感を増すイランを常に警戒しており、28日からのアラブ連盟首脳会議などの場で各国に対イラン共同戦線の構築を働きかけるものとみられる。

「作戦はあくまで(イエメン南部)アデンの政府を守るためだ」。サウジ主導の連合軍報道官は27日、改めてこう強調した。

サウジは首都サヌアを掌握するイスラム教シーア派の一派、ザイド派を通じてイランがイエメンに干渉していると非難するものの、同派の完全排除を目指せば、イランとの対立が抜き差しならない状況に陥りかねないと懸念しているとみられる。

イランも同様に、サウジの軍事介入を「イエメンへの内政干渉だ」(シーア派高位聖職者)と非難しているが、少なくとも表立っては本格的な対抗介入の姿勢はみせていない。

シーア派大国イランは、米国主導の対「イスラム国」有志連合には不参加ながら、シーア派が多数派のイラク政府に協力し掃討作戦に参加。

シリア内戦でもやはりシーア派系のアサド政権を一貫して支援し、「シーア派ブロック」の盟主として振る舞ってきた。

一方で核開発問題をめぐっては、米欧との協議で限定的な核開発能力の保有と経済制裁の緩和を認めさせることを目指している。

米国の中東での退潮が進む中、その隙間を埋めるように地歩を固めているとみることもできる。

こうした事情からサウジには、“裏庭”のイエメンにもシーア派系政権が誕生すれば、自国の域内での影響力が揺らぎ、イランの伸長を阻止できなくなるとの危機感があるとみられる。

アラブ連盟は28日、エジプト東部シャルムエルシェイクで首脳会議を開き、米国の影響力減退と域内の脅威に対応するため、同連盟で初の「アラブ合同軍」設立が協議される見通しだ。

サウジとしては、そうした動きをイランへの対抗措置と、アラブ各国からの支持固めにつなげたい考えだ。

ただ、イランの脅威への認識は、ペルシャ湾をはさんで対峙(たいじ)するサウジなど湾岸諸国とその他の国々では大きく異なっており、アラブとして一致した対応を打ち出せるかは不透明だ。(産経)

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コメント

  1. 山中 雅和 より:

     シリアのアラウィー派アサド政権も少数派(10%?)
    だが、実は、サウジの王侯派.スンニワッハーブ派も
    少数派である。・・
     特に東部湾岸地域はシーア派が多い。バーレーン
    になると、シーア派が断然多数派、UAEは.スンニ派
    が拮抗しているが、湾岸貿易でイランとの結び付き
    強化検討しなければならないと準備中なのにその上
    アルカイダは、サウジにとってはスンニ派とされる
    が、気を付けなければならぬライバルであり.UAEと
    ともにライバル。・・サウジ出身のウサマ・ビンラ
    ディンもアルカイダだった。アルカイダにもISにも
    エジプトムスリム同砲団にもサウジから多くの若者
    が出かけていた。・・サウジは資金力と広大な国土
    を持つが人口はその割りに少ない。そのアルカイダ
    の主な資金源はUAEのカタール…ISとシリア欧米。
     欧米は、アラブの春以降結束を強めた「エジプト
    サウジ・イスラエルグループ」~>「シーア派」G.
    にシフトし掛かっているようにも見える。エジプト
    は、元英連邦内国家&エジプトポンド通貨を持つ国
    とはいえ、旧フランス共同体・現フランクフォニー
    連合の主要メンバーでもある。何しろ初代事務総長
    は国連事務総長.任期終了直後のガーリさんだった。
    (今は、2代目シエラレオネ前トップ?)。フランク
    フルト等、”フランク”は、ジャーマン系。・・
     詰まりフランク・フォニーのバックにはドイツが
    いる。すなわちエジプトは、英寄りにも仏寄りにも
    独寄りにも簡単に変身できる。EUの金融緩和による
    資金力の飛躍的上昇サウジ資金?..イスラエルは?
     東欧のアシュケナジー他ユダヤ人の人脈国内外に
    豊富。これも資金をサウジに頼らなければならぬと
    言う事は全然無い上、今や米国だけが金蔓ではない。
    ITや工業技術も高いので財政や貿易.赤字ではない。
     サウジは民主的な政体ではない。謂わば封建幕府。
    すると、武力もそう際立って強い訳ではないサウジ
    は孤立化~遠からずシーア派への維新起こるかも?
     イラクがシーア派政権、核交渉はどうやらイラン
    強硬姿勢ベースで動いている、というよりも濡れ衣
    っぽいこれまでの決め付けに無理があった?で経済
    制裁は、緩和される兆し?・・
     サウジは、アルカイダも、UAEも、ISも、イランも
    場合によっては、エジプトや、イスラエルさえ.対峙
    しなければならなくなるかも?・・
     親和性があるのは.ロシア?すると中国やイランが
    付いてくる??・・レバノン.シリア・イランの結束
    は30年来万全な上にイラクもシーア派政権に。・・
     
     ・・・
     安部政権は.スンニ派だけに対応?なんかUAE訪問時
    からそれでよい?のかなぁ?・・アンバランス危惧。
     ・・・
    ちょっと日本外交音痴?今に始まった事ではないが。
    中東では日本びいきもあるが、少なくとも中世以降は
    新参者。・・
     あまり、ぎらぎらせず、・・淡々とやるべし。
     

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