■闇から闇の手づるを辿ると、行き着いた先は北京政商界の「闇の帝王」だった
反腐敗キャンペー、取り締まり側の筆頭は王岐山(政治局常務委員)だ。
彼の行動が神出鬼没なのも、暗殺を懼れているからで、とくに江沢民一派は、王岐山への恨みが深く、マフィアのヒットマンを雇っているなどと、おもしろく脚色した噂に事欠かない。
3月27日ごろ、王岐山は米国へ飛んだ。
米のFBIなどと組んで、どうしても逮捕したい大物がいるからだ。その名を郭文貴という。知る人ぞ知る、彼は北京政商界の「闇の帝王」といわれ、表向きは北京政泉証券の経営者だが、株価操作などを通じて大企業の幹部等と親しく、あらゆる汚職、収賄事件に関与したとされる。
北京五輪村の鳥の巣スタジアム近くに奇妙奇天烈なホテルがある。高速道路から見えるので知った人も多いだろうが、ドバイに次いで世界に二つしかない七つ星ホテルという触れ込みの「バンゲ7スターホテル」だ。
三層の高層ホテルの前面に、てっぺんがゆらゆら揺れているようなエキセントリックなデザインのホテルだが、奇をてらうとしか言いようがない。一泊最低でも49000円、普通は六万円台。最近は泊まるが少なくガラガラという。
このホテルほか五輪村をめぐるプロジェクトで、前北京市副市長だった劉志華が失脚し、この関連で方正集団CEOの李友夫婦が拘束された。こうした結びつきから国家公安部副部長だった馬健が連座した。かれらの犯罪は周永康も令計画も絡む。
方正集団の李友は、令計画とも親しく、彼が京都の料亭跡を購入した張本人と見られている。一時は令計画や李源潮らが、この京都の別荘の陰の購入者などと言われた。
郭文貴は2014年末に突如、出国し、英国に短期滞在後、米国へはいったことが確認された。
この間に逃亡資金として4500万ドルが蒸発しているとも言われ、彼は「バンゲ会」という秘密結社のような利権集団を組織して、北京の開発プロジェクトにからみ、采配していた疑いがある。
ともかく郭を拘束しないことには他の大幹部らをつぎに査問する証拠が揃わないからとも噂されている。北京の闇は深い。
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