■合意したとする共同声明を発表
イランの核開発問題の最終的な解決を目指して交渉を続けてきた欧米など6か国とイランは2日、最終的な解決に向けた枠組みで合意したとする共同声明を発表しました。
国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6か国とイランは、スイスのローザンヌに外相らが集まり、イランの核開発問題の解決に向けた最終合意の枠組みをまとめることを目指し、先月末の期限を延長して大詰めの交渉を行ってきました。
日本時間の3日午前3時前、イランのザリーフ外相と、6か国側の調整役を務めるEU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表がそろって会見し、共同声明を発表しました。
それによりますと、6か国とイランは最終的な解決に向けた枠組みで合意しました。
合意内容では、イランが、10年間にわたってウランの濃縮活動を制限しますが、国内の核施設はいずれも閉鎖せず、濃縮活動自体は続けるということです。
また、イランに対する制裁を巡っては、最終合意に達した場合に解除することになっています。
イランの核開発問題を巡っては、平和利用が目的だと主張するイランに対し、欧米側は核兵器開発の疑いがあるとして制裁措置に踏み切るなど対立が深まり、軍事衝突の危機もはらんだ「中東最大の火種」とされてきました。
今回の合意で、6か国とイランは、外交的な解決に向けて歩みを進めたことになり、ことし6月末までに、詳細を詰めたうえで、最終合意の実現を目指すことになります。
■核開発問題と交渉の経緯
イランの核開発問題を巡っては、国連の安全保障理事会の常任理事国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国にドイツを加えた6か国が、問題の解決に向けてイランと協議を続けています。
問題となったイランのウラン濃縮活動は2002年に発覚しました。
欧米各国は、イランが秘密裏に核兵器の開発を進めているのではないかと懸念を強めたのに対し、イランは、原子力発電など平和利用が目的だと主張してきました。
しかし、2011年、IAEA=国際原子力機関が「核兵器の開発に等しい研究を行っている」と指摘したことをきっかけに、欧米がイラン産原油の禁輸に向けた独自の制裁措置に踏み切り、イランの銀行との取り引きも厳しく制限しました。
さらに、イランと敵対するイスラエルは、イランの核開発は核兵器を取得するための軍事目的だとみなし、安全保障上の最大の脅威と位置づけ、イランの核開発を阻止するためには軍事攻撃も辞さないとする構えを見せ、「中東最大の火種」と懸念されました。
一方のイランは、欧米に対して強硬な姿勢を示していたものの、制裁措置の影響で、通貨の価値が暴落し、物価も2倍以上に上がるなど、市民生活に大きな影響が出ました。
こうしたなか、おととし8月にロウハニ大統領が就任すると、欧米側との対話路線を掲げて柔軟な姿勢に転じました。
この年の11月には、イラン側が、軍事利用が疑われるウランの濃縮活動を制限する代わりに、欧米側が、経済制裁の一部を緩和するとした「第1段階の措置」について合意に達しました。
しかし、核の平和利用を主張するイランにどの程度のウラン濃縮活動を認めるのか、また、イランに対する制裁をどのように解除するのかを巡って、双方は隔たりを埋められないまま、去年7月と11月の2度にわたって交渉の期限を延長していました。
双方は、ことし6月末を期限に最終合意の実現を目指しています。
■米大統領「イラン側と歴史的な合意に」
イランの核開発問題を巡って交渉を続けてきた欧米など6か国とイランが、最終的な解決に向けた枠組みで合意したことについて、アメリカのオバマ大統領は、日本時間の午前3時半ごろ、ホワイトハウスで声明を発表し、「イラン側と歴史的な合意に達した。今後、イランと最終合意に達すれば、国際社会はより安全になると確信している」と述べて成果を強調し、ことし6月末までに、最終合意の実現を目指す考えを強調しました。(NHK)
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