■政府外交ルートを無視 権力闘争激化か?
■米に「反腐敗」王岐山氏 露には「官房長官」栗戦書氏
【北京=矢板明夫】中国の習近平国家主席(共産党総書記兼務)の側近で、共産党内で序列6位の王岐山・党中央規律検査委員会書記が近く、米国を訪問することを検討している。複数の党関係者が明らかにした。
習主席のもう1人の側近、栗戦書・党中央弁公庁主任が先月にロシアを訪問したばかり。政府での兼務のない党高官が相次いで主要国を訪問することは異例だ。習主席は自らと違う派閥の李克強首相が主導する政府ルートを通さず、側近を使って外交交渉を展開しようとしている。
習指導部が進める反腐敗キャンペーンの責任者である王氏が訪米する時期について、党関係者は「日程を調整中で夏までに行くだろう」と話す。習主席の9月の訪米の地ならしのほか、米国に逃亡した共産党元高官らを中国側に引き渡すよう求めることも、目的とされる。
共産党関係者によると、昨年末に失脚した令計画・元全国政治協商会議副主席の弟、令完成氏が現在米国に亡命しており、手元に中国の共産党要人の関係者の不正蓄財に関する資料を大量所持しているとされる。中国にとって絶対に表に出たら困る資料であり、外務省に任せられず、王氏が自ら対応しなければならない事情があるという。
王氏は習主席の特使としてオバマ大統領と会談する可能性もある。3月に訪中したキッシンジャー元米国務長官は香港フェニックステレビの取材に「王氏は米国に友人が多く、訪米は成功するだろう」と語った。
また、王氏の訪米に先立ち、栗戦書・党中央弁公庁主任が3月18日にロシアを訪れ、5月にモスクワで行われる予定の反ファシズム戦争勝利70周年の祝賀イベントに伴う習主席の訪露についてロシア側と打ち合わせをし、プーチン大統領とも会談した。
日本の官房長官に近い役割を持つ党中央弁公庁主任が単独で外遊する前例はほとんどない。党関係者によると、2017年の党大会で栗氏を次期最高指導部メンバーに抜擢(ばってき)したい習主席には、栗氏に外交経験を積ませる意図もあるという。
これまでの中国最高指導者の外遊前の交渉は、外相や国務委員など政府幹部が担当することが一般的だ。今回、党幹部である王氏と栗氏に任せたことについて党関係者は「党内の権力闘争が激化しており、習主席は自分の側近しか信用していない」と話した。(産経)
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