18830 労働者の権利を自覚し始めた農村から都会へ1億6800万人    宮崎正広

■草の根の民衆運動は共産党のルーツだが、いまや弾圧の対象でしかない

中国共産党は貧しき者の味方、農村から都市へのゲリラ戦争で天下を取った。天下を取ったときは共産党以外に七つの「民主団体」との「連立政権」だった。労働者農民が一番気高いと言われた。

毛沢東は政権掌握後、民主派諸団体をひとつひとつ潰していった。共産党の独裁、しかも個人の神格化と帝王としての独裁を築くまで、やや時間を要した。この間に、農民達はいつしか農村戸籍に縛られ、都会に移住するなど考えられない、国内鎖国状態が続いた。

農民は極端に貧困化したが、国際社会に孤立していたうえ、情報が閉鎖されているため、中国人はそとの動きをしらなかった。

改革開放以来三十年、農村から都市へ働きに出た人たちは、流民や出稼ぎの季節工を除いて、おおよそ1億6800万人もいる。

1995年に共産党が成立させた「労働法」に基づき、賃上げ、待遇改善要求などの権利が認められると、毎年二倍のペースで労働争議がおこり、権力側は警察を導入し指導者を逮捕する。

すなわち労働者の敵側にたってきた。

このストライキに嫌気がさして中国から逃げ出す企業が急増する。逃げ出すのは外国企業ばかりでなく、中国企業が大挙して中国から逃げている。ディレンマというべきか、矛盾と定義するべきか。

そして、都会へ流入した農民らのストライキ、暴動が頻発しはじめて、すでに十年以上となる。なにひとつ、抜本的な改変も改革もなく、このまま虐げられて人々の怨念が内側へ向かってマグマ化するとき、つぎに大きな社会的混乱が訪れる。

<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>

コメント

タイトルとURLをコピーしました